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催眠
ラーシュ・ケプレル


ストックホルム郊外で起きた一家惨殺事件。被害者の夫婦と幼い娘を滅多差しにするという手口から、背後に異常な動機を窺わせた。かろうじて一命を取り留めたのは15歳の長男と、独立して家を出た長女だけ。捜査を開始したリンナ警部はm催眠療法で知られるバルク医師に少年から犯人逮捕につながる証言を引き出してくれるよう依頼するが・・・全世界で話題騒然。翻訳権の激しい争奪戦が繰り広げられた、匿名作家のデビュー作。 (裏表紙より)



先日、映画「ヒプノティスト 催眠」を見たところ、少々消化不良だったので、面白いと評判の原作を読んでみました。

なるほど、映画は、話を半分端折ってあったわけなんですね。
道理で、最後の方が訳分からなかったわけです。

原作は、映画で語られた一家惨殺事件と、その他に、もう一つ、エリック医師が10年前に行った催眠療法に関わる事件が描かれています。
この二つの事件は、全く無関係な事件なのですが、エリック医師の催眠治療という共通項だけがあるのです。
ということで、エリック一家がこんな目に合ったのは、”催眠治療”のせいなわけで、ある意味、自業自得と感じるのでした。
だいたい、心の病を抱えた人に、自分でさえも葬り去った秘密を、グループで共有して治療しようっていうこと自体が、私には、間違っていたような気がします。
いくら催眠中とはいえ、そんな秘密を他人に聞かれるなんていやですもんねぇ。

そんなこんなで、催眠治療が事件の原因であると同時に、その解決にも効果があったという話で、 本では、映画以上に催眠について、詳しく書かれていました。

現在の時間の中に、10年前の出来事が挿入され、また、現在の出来事も、登場人物単位で書かれているので、時間的な流れが少々わかりにくかったです。
また、エリック医師の家庭が崩壊寸前なので、家族がばらばらに行動しているのが印象的でしたが、
最終的には、それぞれの情報をつなぎ合わせて、真相が分かってゆきます。
全体的に、いろいろなことが詰め込まれすぎている感がありましたが、まあまあ面白かったです。

著者は、ペンネーム以外のプロフィールが不明の覆面作家でしたが、その後、正体がスクープされ、スウェーデンの作家夫妻の共著であることが分かりました。
「ミレニアム」の著者スティーグ・ラーソンは、残念ながら亡くなってしまいましたが、スウェーデンは、ミステリー大国で、国民はミステリー大好きで、ミステリーの秀作が多いです。
とりあえず、ラーシュ・ケプレルの作品があと二つあるそうなので、それを制覇してみましょうかね(^_^)。 (2017,11,19)