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荒涼館
ディケンズ  訳:佐々木徹



「おまえはおかあさんの恥でした」──両親の名も顔も知らず厳しい代母に育てられたエスターと、あまたの人を破滅させてなお継続する「ジャーンダイス訴訟」。この二つをつなぐ輪は何か? ミステリと社会小説を融合し、呪われた裁判に巻き込まれる人々を軸に、貴族から孤児まで、19世紀英国の全体を書ききったディケンズの代表作。(内容紹介より)



ディケンズの作品というと、「オリバー・ツイスト」や「クリスマス・キャロル」など有名な作品がずらり。
私も、映画や絵本で見たことはありましたが、小説を読んだのは、今回初めてでした。
読もうと思ったきっかけは、確か村上春樹さんの小説の中に、この本のことが出てきたから・・・だったと思います(^_^;。

そんな私が読むには、恐れ多い”ディケンズ”。
何せ、”ディケンズ”だけで、”チャールズ・ディケンズ”そのものなんですから、そんじょそこらの作家とは一線を画しています。

今回は、岩波文庫全四巻に挑戦です。

読み始めたときは、とても後悔しました。
何せ、わかりずらい(^_^;。
”ジャーンダイス対ジャーンダイス”って、いったい何?!から始まり、
私の苦手な、情景描写が延々と続き、言い回しが長たらしく、しかも、当時の社会状況などに関するたとえ話が多くて、読むのに困難を極めました。

その上、登場人物が多いので、読みながら、何回冒頭にある”主な登場人物”を見返したことか・・・(^_^;。
でも、耐えること二巻。三巻目からは、事態が動き、とてつもなく面白くなっていったのでありました。

長編小説で、登場人物も多いのですが、読み始めたときと、読み進んでいった後とでは、登場人物に対する感情が違ってきたのも面白い感覚でした。
登場人物が、どんな考えを持っていて、また、その行動の意味が分かってくると、その人物への思いが変化してゆくのです。
多くの人たちが、狭い範囲の中で、関わり合い、絡み合ってゆくのを読んでいくのは、最初辛かっただけに、中盤以降は、快感に変わったようでした(^_^)。

そして、読み終わった後に読んだ訳者による解説も大変興味深かったです。
特に、挿絵の解説部は、とても面白かったです。

是非とも再読したい作品です。
ただ、ちょっと時間を空けてですが・・・(^_^)。 (2019,02,20)