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流浪の月
凪良ゆう



あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。
私を心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。
それでも文、わたしはあなたのそばにいたいーー−。
再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、
運命は周囲の人を巻き込みながら疾走を始める。
新しい人間関係への旅立ちを描き、
実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。(表紙裏より)


「すみれ荘ファミリア」に続いて凪良ゆうさんの作品です。
2020年、本屋大賞を受賞。
松坂桃李、広瀬すずにより映画化されました。
映画の予告編を先に見たので、本を読んでいるときには、文の印象は、松坂桃李そのものとしてイメージされました。しかもピッタリ。
このキャスティングは、素晴らしいです。

更紗が男に誘拐され、引き離されるところまでは、映画の予告編で想像できましたが、
その後の展開が、こうなろうとは、思っていなかったので、ぐいぐい引き込まれて、ページを繰る手を止める事が出来ませんでした。

人には理解されない人と人との関係は、実際にあるでしょうし、
それどころか、わかり合えていると思っている人の間にも、誤解や思い込みが多く存在するはずです。
ただ、そういう関係は、他人には決して理解されることなく、他人は、自分の中の常識で勝手に解釈するしかないのだとも。でも、それはしかたないことで、批判できないと思うのです。

事件があると、その都度面白おかしく、もしくは、勝手に親身になって、ネットで拡散されます。その情報を知りたいと思う他人にとっては便利ですが、いつまでもいつまでもその情報による傷跡が消えずに残るのは、本人たちにとっては、苦しみであり、理不尽そのものでしょう。
いつまでも過去の影に追いかけられて、逃げ続けるのは辛いですね。

深く考えさせられる作品で、映画の評判もいいので、映画を見に行こうと思っていたのに、もう終わりかけで時間が合わず、見に行けませんでした。残念。 (2022,06,03)

映画「流浪の月」感想