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茶色の服の男
アガサ・クリスティ




考古学者の父を亡くして間もないアンは、ロンドンの地下鉄で奇怪な事件の遭遇する。
男が何者かに驚いて転落死し、現場に居あわせた怪しげな医者が暗号めいたメモを残して行方をくらましたのだ。
好奇心に駆られたアンは、謎を追って単身南アフリカ行きの客船に飛び乗った・・・
ミステリの女王による波瀾万丈の冒険譚 (裏表紙より)


この作品は、1920年に「スタイルズ荘殺人事件」でデビューを果たしたクリスティ4作目の、ノンシリーズの作品(1924年刊行)です。

今までずっとシリーズ物を読んできたので、どう読んだらいいのか戸惑いましたが、主人公のアン・ベディングフェルドの天真爛漫さと、スリルとサスペンスそしてロマンスと、盛りだくさんの内容で、案外楽しめました。

舞台は、イギリスからアフリカへと移動して、その間、アフリカの名所などの紹介もあり、興味深かったです。
また、ヒロインの冒険譚としても読めるので、ジュニア向けの作品にもなっているそうですし、アフリカへの旅行など、クリスティ自身の体験に基づいて書かれているようです。

ストーリーは、クリスティらしく、様々な人物が、怪しげに描かれていて、なかなか真相が分からないですが、それがひとつひとつクリアになっていく過程も楽しかったです。

なにしろヒロインのロマンスが描かれているのが、クリスティとしては珍しく、初々しくてよかったです。 (2024,01,03)