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羽毛疾患


 コバタンの嘴羽症候群(PBFD)-Psittacine Beak and Feather Disease

  PBFDは世界中に存在し迅急性、急性、慢性のいずれかの
  経過をたどります。
  発症は3才以下の鳥によく見られるが、10-20才の老齢の
  鳥にも見られます。
  症状−羽根の鞘が残る。
     羽根軸に出血が見られる。
     短く丸い羽毛になる。
     変形してカールした羽毛になる。
     羽軸に変則的な収縮や円周に沿ったくぼみができる。
     口腔内潰瘍や嘴の壊死。
     ヨウム、セキセイでは嘴の症状は見られず、羽毛
     主体の症状を示します。
     バタンは嘴が変形します。
  このウイルスは免疫に障害を与え、次に羽毛に障害を与
  えます。
  そして、羽根が変形し、筆毛のままになり、発毛が見られなくなるため外貌が
  変わります。
  最期にすべての羽根が抜け落ちて死亡します。
  パポバウイルスによるBFDは非常によく似た症状を示します。
  急性のPBFD−突然死します。 もし生き残っても、羽根の症状は進行します。
  激しい急性の症状を示すのはバタンとヨウムです。
  慢性のPBFD−エイズ様の症状を示し免疫不全が起こります。
  二次的な疾患で死亡します。 稀だが回復して生き残ることがあります。
  ダメージの少ない鳥は時に数年間そのままの状態で生存します。
  (30年以上生きたのもある。)
  疫学−風土病の特性を持っており、オーストラリア、アフリカに多く見られ
  旧世界の鳥にひどい症状を起こしています。 伝染力は非常に強く、便や羽根
  づくろいで飛んだホコリから伝播します。
  診断−羽根のバイオプシー、毛嚢のバイオプシー
  治療−治療方法はなし。現在ワクチンを開発中。


 セキセイのパポバウイルス感染症(BFD)

  1981年にアメリカのジョージア大学の
  Bozemanらによって、セキセイの幼鳥
  から初めて分離された時には、BFDvirus
  と名付けられました。
  (BUDGERIGAR・セキセイインコ、FLEDGLING・
  羽の生えたばかりのひな鳥、DISEASE・病気)
  日本では1982年に浜松市のセキセイインコの
  専業繁殖場で岐阜大の平井らによって集団
  発生が確認されています。
  症状−主として翼羽疾患で幼若なセキセイインコに多発します。
  しかも親鳥には何の症状も見られません。
  罹患した幼鳥の体、翼、尾などの正羽は健康な鳥の発育より著しく遅れて
  しまいます。 これらは飛べなくなり鳥籠や鳥小屋の隅にすくみ地面を走
  ることしか出来ません。
  したがって、諸外国ではRunnerつまり走りまわるものと呼ばれています。
  我が国では地面を走りまわるために足の裏に糞が付着し固まって球状と
  なり、静止できずに転倒するためにコロと呼ばれています。
  健康なセキセイインコは約3週齢で正羽がはえそろいます。
  軽症例では初列風切が数本抜け、尾翼羽も脱落します。
  中等例では初列風切の他、次列風切も抜け羽翼羽の発育が遅れます。
  重症例では上記の症状に加え、覆翼羽も侵され、つまり丸裸になります。
  つまり症状は程度に応じて様々です。
  原因−かつてはビタミンやミネラル不足など(フレンチモルト)といわれ
  ていたが、現在ではウイルスが原因であることが証明されています。
  疫学−パポバウイルス感染症の伝染経路は親鳥からの介卵感染、そ嚢
  ミルクからの経口感染、および接触感染などが考えられています。
  診断−死亡鳥の剖検、および臓器からウイルスを検出。
  治療−治療法無し。現在のところワクチンもありません。
  対策−感染鳥は親鳥も含め隔離、環境の消毒。