| 結節を特徴とする皮膚疾患 |
| 定義 | 肥満細胞腫は、比較的よくみられるが真皮肥満細胞由来の潜在的にかなり悪性が高い腫瘍である。 |
| 病因 | 肥満細胞腫の病因は知られていない。 肥満細胞腫は犬や猫の皮膚の正常な構成要素である。いくつかの症例、特に多発性に腫瘍が存在する場合では、ヒスタミンやヘパリンのような血管作用性物質の放出がおこって、結果的に腫瘍随伴性の汎用を起こす場合がある。これは、局所の紅斑や浮腫から消化性潰瘍および凝固異常にまで及ぶ。 |
| 臨床的特徴 | 肥満細胞腫は老齢犬に最もよくみられる。性差はないが、ボクサーやラブラドール・レトリーバーおよびスタッフォードシャー・ブル・テリアのようないくつかの犬種に好発する。多発性の病変もありうるが、猫において最も多い臨床像は単発性の皮膚結節である。多発性の皮膚の丘疹および結節を呈する良性肥満細胞腫症候群がシャムの子猫で報告されたことがある。 犬では、通常この腫瘍は単発あるいは多発性の皮膚結節として始まるが、臨床像や予後はさまざまであり、予測が非常に困難である。大きさは1〜10cmと多様であり、限界明瞭で、柔らかい場合も硬い場合もある。概して、皮膚肥満細胞腫はやや成長が遅い単発性の結節か、成長が早く早期転移傾向を有し限界不明瞭なことの多い結節のどちらかである。 |
| 類症鑑別 | ・組織球腫 ・細菌性あるいは真菌性肉芽腫 ・異物性肉芽腫 ・そのほかの皮膚腫瘍 |
| 診断法 | 臨床的に本疾患が疑われたときは、穿刺吸引標本を染色して観察することにより診断が確定されることがある。適切に染色された標本からは、切除には広い(2〜3cm)マージンが必要だという情報は得られるが、腫瘍のグレードを決定するのには十分な情報が得られない。切除された腫瘍のすべてについて病理組織学的検査を行う。あいにく、今の段階では肥満細胞の形態の病理組織学的分類により、腫瘍の生物学的動態または最善の処置方法(手術を除く)さえも予測するのは困難である。 |
| 治療 | 犬の肥満細胞腫のすべてが潜在的に悪性と考えられるべきであり、散在性の病変に対しては広範囲の局所切除が最善の処置である。明らかな限界明瞭な病変に対しても、すべての方向について2〜3cmの広いマージンをとることが奨められる。体の部位(例えば四肢末端)によっては、この程度の切除は前進皮弁あるいはそのほかの外科的移植を必要とする場合もある。単発性結節の切除後に化学療法を行う根拠はほとんどない。 犬の肥満細胞腫に対するステージ別の治療形態が提案されており、以下はこれらの参考文献にもとづくものである。 ステージ1:単一の腫瘍で真皮に限局し所属リンパ節ヘの転移がないもの。 ・広範囲の外科的切除、ヒスタミン放出のある場 合にはシメチジン(6時間ごとに5mg/kgを経口投与)を与える。 ステージ2:単一の腫瘍で真皮に限局し所属リンパ節ヘの転移を示すもの。 ・外科的切除に加えて放射線療法。 ・ヒスタミン放出のある場合にはシメチジンを投与する。 ステージ3:多発性腫瘍あるいは浸潤をともなう大型の腫瘍で、所属リンパ節ヘの転移の有無は間わない。 ・外科的切除が有用であるかもしれないが化学療 法は必須。プレドニゾロン(24時間ごとに40mg/m2を7日間経口投与、その後隔日に20mg/m2を経口投与)およびビンクリスチン(毎週0.5mg/m2静脈注射)。 ・ヒスタミン放出のある場合にはシメチジンを投 与する。 ステージ4:遠隔転移をともなうあらゆる腫瘍 ・プレドニゾロン(24時間ごとに40mg/m2を7日間経口投与、その後隔日に20mg/m2経ロ投与)およびビンクリスチン(毎週0.5mg/m2静脈注射)。 ・ヒスタミン放出のある場合にはシメチジンを投与する。 腫瘍内へのトリアムシノロン投与(1mg/cm腫瘍直径)が、ステ―ジ3および4の肥満細胞順に対する適切な補助療法として報告されている。腫瘍内および手術部位の術後浸潤に対するイオン交換水の使用もかなりの関心を集めている。 |
| 要点 | ・潜在的に非常に悪性の腫瘍。 ・すべての方向において広範囲に切除することが最も治癒の可能性が高い。 ・再発病変に対して放射線治療法が推奨される。 |
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| カラーハンドブック 犬と猫の皮膚病 発行発売元:株式会社Medical Science/株式会社Interzoo ISBN 4-89995-153-1 C3047 |