春にして君と離れ
アガサ・クリスティ

優しい夫、よき子供に恵まれ、女は理想の家庭を築き上げたことに満ち足りていた。
が、娘の病気見舞いを終えてバクダードからイギリスへ帰る途中で出会った友人との会話から、
それまでの親子関係、夫婦の愛情に疑問を抱きはじめる……(解説 栗本薫)
揺るがぬ自信を持って生きてきた女性が、ふと立ち止まったとき、果たして本当にこれでよかったのかという疑問で、心が揺れるという話でした。
一人の女性が主人公ですが、内容は、大きく3つに分かれていて、 最初は、自分のこれまで歩んできた人生の肯定で始まります。
いろんなことがあったけれど、家族が幸せにしていられるのは、自分が努力して、正しい道筋に導いたからだ・・・という、鼻持ちならない自己肯定から始まります。
中盤では、孤独と手持ち無沙汰から、これまでの人生をさらに振り返り、もしかすると、自分の歩みは、間違っていたかもしれないと思い始めてしまいます。
このあたりになると、それまでの自信が揺らぎ、疑心暗鬼になってしまって、かわいそうで、お気の毒で、苦しくなりました。
そして、ラスト・・・。
いやな予感がして、苦しい気持ちで読み進みましたが・・・。
この作品は、アガサ・クリスティの、ロマンス作品の一つですが、読んでいて、主人公の気持ちがリアルに伝わってきて、本当に苦しかったです。
自分とは、全く違う性格の女性の話でしたが、最初、自信満々だっただけに、落ち込みが激しくて、かわいそうでした。
でも、こうゆう人は、世の中にわんさかいると思われます。
というか、すべての人が、彼女なのかもしれません。
真実に気がついた時、その後、人は、どうするのか・・・。
どんな結論が出たとしても人は、折り合いをつけながら生きてゆくのでしょう。
クリスティのロマンス小説として、人気が高いようで、図書館で予約してから手にするまで1ヶ月以上かかりました。
(2026,06,7)
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