獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199902-23

タマネギ中毒の補足
投稿日 1999年2月16日(火)12時24分 プロキオン

2月13日のムクムク先生のレスに補足です。
外崎さんの質問へのレスの補足になります。

タマネギをどのくらい与えたら中毒症状が出るかという質問でしたら、
おおよその目安はあると思いますが、それ以下なら食べさせても良い
という解釈にはなりません。

動物を診療していると「ネギの中毒」は、かなり頻繁に遭遇します。
決して珍しい病気ではありません。1つには飼い主さんが日常食して
いても、自らには何等の異常を覚えていないので、まさかと考えてい
ることに原因があります。
私の診療経験の範囲では食後2〜4日くらいで発症することが多いよ
うです。一番早く発症したのは、食後直ちに発症しました。お蕎麦の
薬味を食べてしまったので、病院に直行しましたが、到着時点ですで
に血尿になっていました(この間20分くらい)。
犬の個体によっても症状の強弱がかなりあります。治療のレベルも異
なります。でも、重要なのは赤血球が破壊されるという反応は全ての
犬に起きているということなのです。

私が代診の研修を受けた病院の先生は、ある分野では知らない獣医師
がいないくらい有名な先生です。
翻って、私は不肖の弟子で先生の名を名乗るのも躊躇せざるを得ませ
ん。しかし、先生は言われました。
「動物の7割は自分で病気を治している、獣医師が必要なのは残りの
3割である。その3割も半分治せるのなら、これは名医だよ。」
「少なくとも、自分で治ろうとしている動物の足を引っ張るような獣
医師にはなってくれるなよ!」

この言葉も病院に来院する患者の7割が獣医師を必要としていないと
言っているのではありません。
病院へ連れて来て貰える動物は、体調を崩しているいる動物の3割に
すぎないという意味です。

タマネギを初めとするネギを食べさせられた犬達は、それぞれの個体
の能力に応じて赤血球破壊性の貧血と闘っているのです。
我が家の犬はなんともなかったよというのは、犬に感謝しなくてはな
りません。知らなかったのなら仕方がありませんが、知識として一度
知った以上は飼い主さんの責任だと思います。

この問題は以前からこちらの掲示板でも何回も取り上げられています
が、やはり何回でも「ネギ類」はあげてないで下さいと繰り返したい
と思います。

人間も含めて動物による違いは、赤血球内のヘモグロビンの酸素との
結合能力によるところが大きいのではないでしょうか?
クジラなんかでは、さぞ症状も激しいように想像しますが、これもむ
ろん実験すべきではありません。

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