獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199904-179

心臓弁膜症のことで
投稿日 1999年4月23日(金)01時30分 くらら

kokoさんへ、

心臓の弁は、何種類かありますので、どの弁が悪いのかわかりませんが、
一般的に多く見られる僧帽弁の場合でのことを話してみます。
私は人を見ていますので、その点ご了解下さい。

病気について
 心臓には4カ所の弁があって、血液が逆流しないように働いています。
そのうちの一つが僧帽弁とよばれるもので、左心房と左心室の間にあって
4つのうちで、一番大きなものです。
この僧帽弁が色々な原因で気嚢を果たさなくなることで起きる病気です。
正しくは「僧帽弁閉鎖不完全症」といいます。

どうして咳をするのか
 ふつうは、左心房から左心室におくられ全身を回る血液が、
逆流して左心房に送り返されます。
その結果、左心房に流れ込む血液量が少なくなってしまいます。
左心房には肺からの血液がながれこみますから、肺の血液のながれも
変化が起きて、その結果肺の血圧が上昇します。
このため、まず肺の症状がおこります。
せき込むのはこのためだと思います。
 心臓は、予備能力がかなりあります。
ですから、咳をするほどになっているのであれば、かなり悪い状態ではないかと、大変心配です。
いままで一生懸命に症状を出すまいとして、がんばってきていると思うからです。

治療の方法
 内科的な治療と、外科的な治療があります。
内科的な治療は対症療法で、病気をなおすものではありません。
でも現在は沢山のくすりがあり、上手に病気とつき合えるようになりました。
kokoさんの場合、治療がしてもらえなかったという事ですが、
人間も年をとります。若いときと、年をとったときとは、体力差があるものです。
薬を飲む方がむしろ体にさわることだってあります。
そこの所をお考えになって、獣医先生は、なにもなさらなかったのではないのでしょうか。
 外科的な治療は手術です。
犬にもこの方法が用いられているかどうか私にはわかりません。

直る可能性
 ざんねんながら、完治は難しいと思って下さい。
一度悪くなった僧帽弁は、再び元気を取り戻すことは無いと思うからです。

kokoさん、悲しいお話でごめんなさいね、
獣医先生とよくお話をなさって、幸せな日々が過ごせるようになさってください。
あなたの気持ちが通じて、もっともっと長生きすることでしょう。



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