獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199905-201

ウサギの皮膚病
投稿日 1999年5月19日(水)18時37分 プロキオン

5月19日のよっさんへ

書き込みだけからでは、皮膚糸状菌症とは判断しかねますが、目の
周囲でしたら確かに発生しやすい場所です。耳の方は疥癬の可能性
もありますので、確実な診断が望まれます。

真菌には相当に多くの分類がありますが、医真菌として取り扱われ
るのは、だいたい接合菌類・子嚢菌類・不完全菌類のどれかに該当
するのが普通です。接合菌類は比較的少数になりますが、子嚢菌類
にはアスペルギルスとかペニシリウム等の族があり、不完全菌類に
は、酵母の仲間がありクリプトコッカスとかカンジダがあります。
その種類は私の持っている本では42300種程が認められている
とあり、カンジダ・アルビカンスだけでも172の同義語が存在す
ると記載されています。
ただし、実際に疾病を引き起こし我々が遭遇する機会のあるものは
およそ50種類くらいとのことです。

今回の症例が皮膚の糸状菌とすると、少々時間がかかりますが、簡
単な培養検査で正体が判明すると思います。白〜ごく薄い黄色を帯
びた綿毛のようなコロニーが形成されると推測されます。カンジダ
だと皮膚はビランになり、コロニーはムコイド型の粘りけのあるも
のになるはずです。たぶん、前者のはずです。
獣医師の分野では皮膚糸状菌というと、その多くがMicrosporum canis
を意味しています。
診療していただいた先生のところに培養の培地があれば、相談して
みると良いと思います。

というのは、処方されている「ドルバロン」は抗真菌薬の他に炎症
を抑える成分や抗生物質等の成分も含有されており、単に塗布だけ
なら、抗真菌薬単味の薬よりも治癒に時間がかかるからです。疾病
を確定された方が最終的な治癒は早いと考えます。
疾病が確定できないケースあるいは他の要因が想定されるケースで
は、現在のお薬をそのまま継続された方が良いでしょう。

そして、もうひとつ重要なことは皮膚糸状菌にしてもカンジダにし
ても病原性真菌ではありますが、同時に生体にとっては常在菌なの
です。日常的に存在しているのです。存在していることが即病気と
は言えません。普段は生体の免疫に抑えられて発育できないでいる
のです。これらの真菌は免疫の不完全な子供や免疫状態の低下した
ウサギや老齢個体において初めて病原性を発揮しはじめるのです。
よっさんのウサギが若齢であるなら、比較的スムースに治癒すると
考えられますが、そうでない場合は長期戦になりますので、主治医
の先生の指示にしたがって腹を据えてかかってください。

内服用の抗真菌薬は、私の場合はほとんど使用していません。エキ
ゾチックペットの場合は体力がない子が多いので、余計な副作用に
患わされたくないからです。とくにウサギでは元気がなくなり食欲
に低下があると思いますので。

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