獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-199905-28

犬ジステンパー及び付記
投稿日 1999年5月5日(水)12時14分 プロキオン

decoさんへ
ムクムク先生からすでにレスがついていますので、二重になりますが
私からも。

書き込みを拝見する限りではやはりジステンパーの可能性があると思
います。
2月16日生まれということであれば、日齢的にも危ない時期です。
消化器症状・呼吸器症状と発現していますし、可能性は高いと考えら
れます。4月初めから症状が見られ始めて、23日にインターフェロ
ンを投与とのことですが、この経過での投与は効果が期待できないと
思われます。むしろ、立ち上がりかけた免疫をサイトカインネットワ
ークがかき乱してしまう例もあり得ます。

では、誤った治療かというとそういうことにもなりません。問題はい
かに早く免疫を立ち上げるかであり、インターフェロンには局所免疫
を担当して貰いウイルスの増殖を抑制し、本来のリンパ球やプラズマ
細胞による免疫が上昇してくる時間をかせいでもらわなくてはなりま
せん。このタイミングが重要なのです。
体力のある子なら、「じっと我慢」ということになりますが、消耗の
激しい子ならやはりなんらかの処置は必要なのです。
治療をめぐっては、同じ技量を持った者同士が同一の症例を前にして
論じ会うのなら意味がありますが、そうでない場合は主治権の侵害に
しかなりません。私も同じ治療をしたかもしれないし、そうでないか
もしれません。その場に立ってみなくては分からないのです。

decoさんの主治医が口角があがっていないと言われた意味が私に
は分かりませんが、チックと呼ばれる神経症状の前触れであるのなら、
あまり良いことではありません。致命率はかなり高くなります。
ジステンパーが一端治癒した後に何ケ月かして、いきなり倒れるとい
う神経症状もあります。こちらの場合は免疫抑制剤を使用すると回復
する例もありますが、dekoさんのラブの場合は一連の経過での発
現になるので、この療法では危険すぎると考えられます。

現時点では、対症療法に専念して状況の改善を図るのが本道だと思い
ます。

付記
ワクチンは獣医師が金儲けのためあるとして不要論をマスコミで述べ
る方を時折見かけますが、金を儲けるのが目的であるなら、疾病が流
行してくれた方が獣医師は収入になるのです。
ワクチンの受益者は本来、動物なのです。そして飼い主さんにとって
も不要な出費を防止してくれるのです。
ワクチン未接種の動物(適切な接種を受けいない場合も含めて)が疾
病に罹患して死亡した際、獣医師としては「何故?」というやりきれ
ない思いが残ります。
これはdecoさんとは無関係なのですが、ある本で獣医師を責めて
いる方がいましたが、自分が飼い主の責任をはたさずに、治療内容ま
であれこれ言っているのを見ると、自分で治療すれば良かったのにと
思いました。何よりも何故キチンとワクチンしたおかなかったのか当
事者の獣医師に代わって聞きたいくらいでした。

◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。