獣医の田口といいます。

猫のワクチン接種については、僕も一例副作用というか副反応による死亡事故を経験しています。
１か月前からのくしゃみを示していた患者さんで、飼い主さんの強い希望で押し切られる形でワクチン接種を行ったのですが、当日の夜から容態が急に悪化して２日後に亡くなりました。
この時にはこの猫さんの周囲にパルボウイルスの感染症が多発していて、命の危険があったためにあえて危険なワクチンと知りながらの接種でした。

猫の上部気道炎では持続感染を起こすウイルスがいます。このウイルスに感染している猫さんにあとからワクチン接種したことで急激に発症したのではと考えています。
これ以降は上部気道炎の既往がある猫さんへのワクチンは考えられる副作用、ワクチンの限界（上部気道炎では有効率が６０％という報告もあります）を詳しく説明した上でワクチン接種を行っています。

けれども失敗した猫さん以外にもくしゃみをしている猫にワクチンを接種していますが、同じ症状は経験していません。
ですから、一概に恐ろしい注射と言うことも出来ないと思います。
実際にこの注射をうたなければ危険な環境に暮らしている猫さんは非常に多数いると思います。