獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200005-431

L麻痺、K症候群
投稿日 2000年5月31日(水)18時51分 プロキオン

5月31日の Ayumiさんへ

ランドリー麻痺とコルサコフ症候群のお話はどちらでお聞き
になられたのでしょうか?

Landoryのparalysis
これは急性、上行性の麻痺のことであり、上行性と言う点か
ら感染性を示唆していることが多いようです。病態はenc
ephaloーmyelradicultisis つまり
脳脊髄の神経根炎となっています。

Korsakovの syndrome
こちらは、普通アルコール中毒と栄養不足に起因する精神病
であり、時間と空間に関する定位力障害・逆行性記憶力減退
虚構談話・幻覚・神経炎。
外界からの刺激及び暗示に対する感受性が増強された状態と
いうことになっています。

両者とも「神経根炎」「神経炎」という部位をさしての発
言と推測しますが、現在我が国で認可されている犬用の狂
犬病ワクチンは全て不活化ワクチンであり、生きたウイル
スは使用されておりません。
製法も西ケ原(固定毒)株をハムスターの肺の細胞で順化
してRC・HL株としたものを使用しています。ウイルス
量も海外のワクチンの6分の1と少量で精製されているそ
うです。安全性試験においても書き込みのような副作用は
見られていないようです。

生ワクチンを使用している国においても 猫における接種
の場合は「神経炎」の可能性から、不活化ワクチンが推奨
されるようです。

我が国においては、上記のような事情ですから心配される
必要はあまりないのではないでしょうか。

また、人間における狂犬病ワクチンによる半身麻痺のよう
な事例は、ウイルスの細胞培養ではなく、臓器乳剤による
製造過程に起因していたようです。これは神経炎というよ
りは脱髄によるものだったようです。むろん、現在の人間
用ワクチンでは改善済みです。
元になるウイルス株や培養細胞も犬のものとは異なります
し、接種方法や接種回数も違っています。

犬のワクチンを人間に接種するということは、偶発的なア
クシデント以外にはありません。
その偶発的なアクシデントに巻き込まれがちな獣医師にお
いても、表題のような疾病の報告は聞き及んでおりません
ので、ご安心ください。

狂犬病については、汚染国・非汚染国というだけでなく、
ワクチン事情はかなり異なります。いずこも同じとは考え
ない方が良いでしょう。海外でこのような注意書きを目に
してもそれはそれで不思議なことではありませんが。

ネットの中では様々な情報が飛び回っていますので、「お
やっ」と思うものはその出典を確認された方が良いと考え
ます。

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