獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200011-71

アスペルギルス
投稿日 2000年11月5日(日)22時13分 はたの

獣医師ではありませんし、調べたのは猛禽類に関してのみですが、ご参考まで。

アスペルギルス類は真菌、つまりカピです。環境中に常在しています。つまり胞子がそこらにあります。ことにイネ科植物のわらが湿った状態であると、そこに生えます。一度飼育場所が汚染されると、繰り返し初製することが多いようではあります。カビとしては低温を好み、真夏よりも春秋のほうが怖いかな、と感じられます。そして日和見感染します。健康な個体はそう簡単には罹患しないが、ストレスなどで弱っていてると拾ってしまう、ということです。なお、近縁種であっても感受性には大きな差がある場合があります。

アスペルギルスには3種あり、2種は死亡率が非常に高く、1種はそこそこ。日本に多いのは死亡率の低いものてす。が、輸入業者のところでうつることもあり、安心はしていられません。死亡率の高い2種も日本に侵入はしています。
検査キットも出ていますが、24時間で結果がわかるものは精度が悪いとか、精度が高いものは1週間かかるとか(タチの悪いものだと間に合わない)等の問題があります。国内でも探せば手に入る(らしい)ペンギン用は少なくとも猛禽類には使いにくい、ときいています。
最初呼吸器の表面などに生え、その後、菌糸が内臓の中に伸びていきます。猛禽類では、本来糞の中にだけある緑色の胆汁が尿に混じる(黄身を壊した目玉焼きのように)ことで気づく例が多いようです。タチの悪い2種ですと、この時点で肝臓がやられていてまず助かりません。死亡までに数週間かかる例もあるようなのですが。開嘴呼吸などは治療可能な段階ではあまり目立たないようです。穀物食の鳥でどうかは他のかたにおまかせいたします。

予防・治療薬は、注射・経口・吸入とあり、経口にはさらに何種があるようですが、副作用が結構強いと聞いています。よく似た薬でも、一日一回でいいのか2回要るのかなどの差があります。タチが悪い2種をケアし、かつ、副作用を最低限にとどめるためには、症状や検査結果が出てから治療するのでは間に合わず、かといって闇雲に与えるのは怖い、と思われます。移動などストレスが予想される際に、移動をはさむ形で、量を厳格に守って予防的に投与するのがいいのではないか、との意見を知人の獣医師からいただいています。治療薬・検査キットの中には国内市販に至っていないものもあるようですので、鳥が得意で、かつ、鳥が得意な海外の(聞き知った中ではドイツが強いようです。ペンギンとシロハヤブサについて意地になって研究した時期があるそうで)獣医師とのつながりがある獣医師に相談するのが現在可能なベストのように思っています。ただし、タチのいい1種のほうではないかと疑ってはいますが、国内では、痩せはじめてから加療した小鳥の3 4割は助かる、との話も聞きました。


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