獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200103-90

マルチレス
投稿日 2001年3月13日(火)12時45分 プロキオン

3月11日の あすかさんへ
慢性腎不全の治療法をお尋ねですが、残念ながら根治的な治療方法はありませ
ん。現在の状態を改善する、進行を遅らせる等の治療が行われるのが普通です
慢性腎不全も末期であれば、腎臓移植でもないと救命は不可能かと考えます。
ただ、これはどこでも誰でもと言う訳にはいきません。
慢性腎不全は、その前段階が必ず存在しますので、それを見のがすことなく総
合的なアプローチをとることによって かなりの延命が望めるのではないかと
個人的には考えています。

3月12日の えみさんへ
避妊手術時のワクチン接種ですが、おそらくは大丈夫でしょう。

しかしながら、あえてその時期にいっしょに接種するものでもないと思います。
過去に避妊手術とワクチンをいっしょに接種して、猫が汎白血球減少症を発病
して死亡した事例がどこかの県でありました。
この疾病についてはワクチンが不活化ワクチンであり、ウイルスが殺してある
のに発病するわけもありませんでした。でも、訴訟になって裁判では獣医師が
敗訴しました。実際のところは、すでに本疾病に罹患していた猫に手術を施し
さらにワクチンまで接種してしまったということであろと推測しています。
手術はワクチンブレイクを引き起こす誘因として認識されています。なんらの
問題のない猫でも100得られるはずの免疫が70くらいに低下したものしか
得られないということはあり得ます。
この訴訟においてもその点が指摘され、わざわざ手術といっしょに接種した合
理的な理由を獣医師が説明することができずに敗訴したものです。

したがって、えみさんが不安を覚えるのであれば、これは申し出る必要があり
ます。わざわざ手術といっしょにしなくてはならない理由はないし、飼い主も
それをのぞんでいないのであれば、なおのことです。
もし、避妊手術とセットの料金になっているのであれば、せめて抜糸の時まで
延ばしてもらってはいかがでしょうか?

3月12日の kozyさんへ
レトリーバーの歯茎の肉腫ということですが、悪性の肉腫ということですが、
肉腫はなんなのか確定されているのでしょうか?
肉腫にしても癌腫にしても 化学療法剤(抗癌剤)による治療はその腫瘍の種
類によって使用される薬剤と成績が制限されてきます。何でも良いというわけ
にもいきませんし、その内容にもある程度の知識が必要になります。
また、肉腫というのも非上皮性の細胞に由来するものですから、細胞自身がお
互いに結合性を維持しようという性格に乏しく、周囲組織へ周囲組織へと常に
自身の周りの組織へ浸潤しようとしていきます。このため、腫瘍組織において
明瞭な境界は見られないのが普通です。
切除しかないと言われれば、その通りかもしれませんが、逆にとんでもない所
にまで病巣が形成されていることもあり、必ずしも手術が適応でない場合もあ
ります。
相手が腫瘍であれば、癌腫であろと肉腫であろうと、その正体、グレード、ス
テージ等の把握無しには先へ進めないと私は考えています。まあ、個人的な考
えではありますが。

3月12日の みゆきさんへ
片睾丸あるいは陰睾については、つい先日も書いたばかりですので、省略しま
すが、残りの精巣はお腹の中にあるはずです。
精巣の摘出が容易であるか否かは、問題の精巣がどのくらいの大きさに発育し
ているかに左右されるように思います。

3月12日の satoさんへ
近年、獣医師はなりたい職業の上位にランクされていることが多く、特に女の
子に限定すると相当上位にあるようです。
したがって、大学入試はそれなりに厳しいものがあると覚悟しておく必要があ
ると思います。その点を除けば、特別に必要なことも条件もないと思います。
むしろ、普通の感覚と一般的な社会常識の方が大切なのではと私は考えます。

端的に言えば、動物が嫌いでも獣医師にはなることができます。動物の死に立
ち会う、あるいは自らのために手をくだす場面というのもしばしば存在します。
このような場面に遭遇すると、むしろ動物嫌いの人の方が適しているのではと
考えることもあります。
それでも、自らが獣医師であり続けるのには「動物が好き」という原点に帰っ
てきてしまいます。自分が獣医師になるために死んで行った動物達や自分の未
熟さのために死んで行った動物達の事を考えれば、少々のことでへこたれない
根性が必要です。泣いている暇があるのなら、1冊でも多く本を読んだ方が良
いし、手術や急患が続けば、それなりに体力勝負の仕事であることも認識でき
ます。

でも、それでもやっぱり、動物嫌いの人が治療するのと、動物好きの人が治療
するのでは治り方が違うと思うのです。それは動物のために労を惜しまないか
らだと思います。私が病院を開業する際、ある先輩獣医師が言いました。「入
院患者がいるのなら、とにかく夜中にも1回は起きて患者をみろ。それだけで
必ず違いが出てくるから」と。

命は等しく大切なものではありますが、その大切な命にも重さに差があります。
獣医師と言う職業はそれに直面せざるをえないことがしばしばあり、そのあま
りの軽さに戸惑うこともあるのです。動物が好きという人にとってはなおのこ
とです。ただ、好きというだけなら獣医師を目指すことはありません。
それを克服できるまで好きというのでなければ、「軽い命」達がかわいそうで
す。

大学入試は、この覚悟の有無まではテストしてくれません。入試で落とされた
人の中にこそ獣医師に相応しい人がいたかもしれません。そういうこともすべ
て含めて自分は獣医師になるという決意であって欲しいと思うのですが、13
歳の時点ではちょっと酷かな? 
まだ、先はあるようなので、ゆっくりで良いですから、私の言った意味を考え
てみて下さい!

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