獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200111-96

re鶏冠
投稿日 2001年11月16日(金)16時39分 はたの

鶏冠は単に健康状態を表すわけではありません。赤くて艶がよく張っていれば健康、とは言えます。が、そうでないから不健康・・・とは言えません。不健康ゆえに色艶張りが悪化すること(典型的には中程度以上の寄生虫)もあれば、健康でも色艶張りが悪化することもあります。

 というのは、アレの役目の一部は繁殖のシグナルなんです。たしかテストステロン(雄性ホルモン)と関係してるはず。雌でもテストステロンは繁殖に関与してるんで。

 他方、換羽は、繁殖終了が引き金になって起こります。ペアリングして、交尾して、産卵しますよね。と、ある種の性ホルモンが減ります。これが引き金になって、換羽ホルモンが増えます。と、「次の羽」が用意されて、それに追い出されるように古い羽が抜けます。この頃、抱卵だったり、育雛だったりするわけです。と、換羽期に鶏冠の色艶張りが悪くなるのはごく自然なのです。
 で、繁殖期が早春に始まる鳥は、初夏あたりに換羽しますが、鶏はもともと熱帯産で繁殖の季節変化があいまいなうえ、改良によって産卵期が長く、抱卵性(就巣性)を弱られていますよね。なので、鈍感な鶏でも判るぐらいあからさまに日が短くなったり、寒くなったりして換羽が始まっている(そして「脱毛ちゃん」はもとの不健康さゆえにそれが変な進み方をしている)のが現状ではないかと考えられます。

 つまり、「脱毛ちゃん」の鶏冠の見た目の悪さは基本的に問題なし。餌を変えて換羽がまともに終わって、来春になればキレイになるはずです。元気ちゃんにしても同様で、目立たないにしても換羽していると考えるほうが自然ですし、換羽になっていないにせよ、産卵期の終わりかけであったりするでしょう(現実に産んでいるかどうかとは微妙にズレることもありますが)。なのでこれも春まで待てばOKのはずです。
 また、黒ずみは、加齢によっても生じます。シミみたいなものですね。寒い地域ですと先端部のみ軽い凍傷になったりもするので、余計に。暖かい地域で凍傷がなくても、メラニンは体の末端の温度が低いところで発現しやすいの(必ずではないものの)で、やはり先端だけ黒ずんだりする可能性が高くなります。だからこそ、品評会向きの鶏を飼うかたは秘術を尽くすわけでして・・・が、ペットとして飼うのなら、この時期に気にしすぎる必要はありません。春になってもおかしいままだったら心配ですけれど。

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