獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200205-235

RES:眼球が無いと手術が必要なんでしょうか
投稿日 2002年5月21日(火)16時17分 プロキオン

5月20日の きんちゃんへ

この時期、捨てられた子猫の多くは眼炎に罹患しており、涙と目やにでぐちゃ
ぐちゃの顔をしているのが普通なのですが、眼球がないというのもかわいそう
な状態ですね。
実は私が小学生から高校生まで飼っていた犬も片目でした。家の前を通る子供
達が、片目であるがゆえに犬にむかってよくバカにした言葉を投げかけ、犬も
私もとてもくやしい思いをしてきました。

眼球については、お子さまをはじめとして御家族の方々がこれを気にしないで
いられるかにかかっています。
私も実は事故で片目をなくした猫を知っており、なにもないポッカリとあいた
空洞という状態が想像できます。長年飼育されて来た猫であれば、いまさら途
中で放り出す事もできかねるとその飼い主さんはおっしゃっていましたが、今
から飼育が始まるのであれば、やはりこれは考えなくてはならない問題といえ
ます。
現在では眼球床を作成して義眼を入れるということも獣医師によっては可能と
なっていますが、まだ小さい猫のようですので、ただちにこのような処置とい
うのもむずかしいと考えます。
したがって、当面は空洞となった眼窩を見なくても済むように眼瞼を閉鎖され
ることをお勧めします。この場合にも眼科用のシリコンボールを眼窩の中に挿
入しておくと、より自然形態が保てます。自然といっても24時間ウインクし
ているのですから、本来の意味ではありませんが。
せっかく助けた命ですから、このまま飼育してあげて欲しいと私は願います。
そして、未処置であるよりも御家族が受け入れやすい形態を考えられても良い
ように思います。むろん、みなさんが気にならないといのであれば、そのまま
でも良いと思います。
私と私の犬の場合は、そういう技術を望む以前に、動物病院を自体を捜すこと
が困難だったのです。

動物病院の料金が高かったということですが、単に結膜炎の子猫に20万円か
かると脅かされた女性もおります。
たまたま通りかかって可哀想だからと病院に持ち込んだ方の場合、このような
ことがあります。本来自分の猫ではない、たまたまだと言う場合、診療代金が
払って貰えなかったり、そのまま病院において行ってしまう人がしばしばいる
ためです。動物病院の善意を当てにして中途半端ことをしないで欲しいという
意味なのだと推測しています。そもそも、道ばたで拾った猫に対して、そんな
に高額の診療代金をいただこうと考えているような病院であれば、すぐに閑古
鳥という鳥のお客さんだけになってしまうのではないでしょか。

なお、これも余計なお世話に成ってしまいますが、「獣医療法」においては、
動物が自己の所有であるなしに関わらず、獣医療行為そのものを獣医師以外に
認めておりませんし、内服の場合、薬剤と動物の種類によっては逆に危険な場
合もあります。
今回は、これが効をそうしたのかも知れませんし、また、私も法律を遵守しな
くてはならない立場の人間であって、取り締まる立場にありません。また、告
発しようという気もございません。
私も同じ立場にあって、手元に薬剤があれば同様に行動したと思います。特に
お子さまの願いが純粋な気持ちからでているのであれば、眼前の子猫を放置し
ておけないという父親の姿は、むしろ賞賛すべきかと存じます。
法律以前にあってしかるべき心の問題と言ってもよいのかもしれません。
とりあえず、法律はこうなのだということだけはご承知おき願います。

涙は眼球の損傷がまだ治癒し切っていないためではないでしょうか?



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