獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200205-312

マルチレス
投稿日 2002年5月28日(火)18時12分 プロキオン

5月27日の ことさんへ
「獣医師になりたい」の書き込みは、しばしばお目にかかります。つい、先日
もあったばかりです。

動物実験で挫折した学生がいるかとの質問ですが、まず、「動物実験」はあり
ません。教育カリキュラムとして組み込まれているものですから、これは「動
物実習」が正しいです。
なぜ、こんな言葉にこだわるかといえば、これが実験して初めてわかるとか、
結果が予測できないとか、ある結果の追試をするとかいう性格のものではない
からです。予測がつかないことを動物を使って実験するという主旨ではなく、
獣医師になる過程で必要されることだから、カリキュラムに組み込まれている
のです。
したがって、解剖実習であれば、これは死体が対象です。その場で殺して解剖
するということはありません。内科を初めとする臨床の実習であれば、これは
対象動物に生きていてもらわなくては話になりません。
病理解剖においては、これは死後まもなくか瀕死期の家畜が対象です。
牛・馬・豚・鶏等の家畜では検査対象以外の多くの個体が後ろに控えている訳
で、この検査対象の個体以外の多くの仲間をすくうことに目的があります。
当事者にしてみれば、「なんで俺でなくてならないのか?」というと思います
が、検査する側から言えば、「最も検査に適した個体があんただったんだよ」
という説明できる理由があります。
また、犬や猫であれば、こちらは個体の救命に目的がありますので、治療優先
であって、病理解剖するとしても死後のことになります。
すなわち、納得できる理由もないのに殺され解剖されるということがあっては
ならないのです。実習に使われる動物は、偏に獣医師を志す学生のために存在
します。解剖台の前に立った時、それができないとか解剖実習は必要ないとか
言い出したとしたら、はたして動物達は何というでしょうか? よく言ってく
れたと拍手してくれるでしょうか?
病理解剖できなくて、他の家畜達が次々と死んでいったとしたら、どのように
思うことでしょう?
教育過程においては、「理由のない死」はありません。その理由の際たるもの
が「私が獣医師になるため」なのです。ことさんは今中学3年生とのことです
が、何故、獣医師を志望するのですか? そして、その動機は「私が獣医師に
なるため」を乗り越えることができるだけのものですか?

私の同級生で学業を断念したのは、家庭の経済的理由が3名、結婚が1名、学
生運動が1名、ビルから飛び下りて自殺した者が1名です。
獣医学科が自分が考えていたのと違うという理由が1名です。こちらの彼は、
野生動物が興味の対象でした。
動物の死に耐えられないからという理由の者はおりませんでした。だって、獣
医師になれば、それが仕事になるのですよ。


5月27日の りつこさんへ
バベシア病のことですね。すでにシゲ先生からもレスがついておりますし、私
は治療経験がありませんので、詳細は述べることはできません。
でも、おそらくヘマトクリット値と思われますが、13%という数字は厳しい
数値ですね。どのような貧血であろうと生命の危険レベルまで達していると感
じました。
お尋ねの内容については、患者の状況を把握できていないものが安易に予測で
きるものでもなく、シゲ先生も一般論としてのお話だと思います。
個体状況に応じて判断されるべき内容は、主治医の先生にお尋ねの方が良いと
思われます。



5月28日の みゆきママさんへ
ハムスターには腫瘍という診断での書き込みが多いのですが、ハムスターだか
ら腫瘍が多いとは私は考えておりません。
犬を例にとてってみても、人間の5倍程の発生率になるそうです。
さて、私でしたら、前肢の断脚を前提にしたお話であれば、腫瘍が悪性か良性
かを調べます。前足ということであれば、ハムスターにとっては大きな問題と
考えるからです。その後の生活を考えれば、ただ念のためにとっておくかでは
なく、断脚しなくてはならない必然性を確認したいからです。
必然性があるのであれば、これは実行されなくてはなりません。良性であるの
なら、それから選択肢を検討すれば良いわけです。早い話が経過を見るという
選択肢もあってよいことになります。
腫瘍の正体を確定するということであれば、これは専門家の力が必要ですが、
悪性か良性かを見るだけであれば、そう難しいことでもないように思います。
悪性であると判定されたのなら、今、チーママさんとお話のようなことが生
きてくると考えます。



5月28日の マロンママさんへ
キンクマの白濁尿とのことですが、ハムスターやウサギのような動物は、本来
尿の中に多量のカルシウムを含有しているものです。これ自体は生理的なもの
であって、異常とは言えません。
「顕微鏡ぐらいでは分かりはしない」ということはなく、肉眼でも確認できま
すし、顕微鏡を使用すればなお良いでしょう。
ただ、沈殿物として見られる量が多いというのであれば、これはやはり注意す
べきことですし、体調不良というのであれば、なおのことです。おそらく、疾
患の1形態として、そのような状況が見られているのではないでしょうか。
薬剤やサプリメントに対しては、状況の改善に時間がかかるのも気掛かりなと
ころです。
もう1点、ハムスターの精巣は、体内へ自由に出入りし、夏期においては精子
形成時に放熱の必要性がたかまりますので、体外へ出てきます。これは、「停
留睾丸」とは別の現象です。体調が悪いので、それどころではないということ
なのではないでしょうか。


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