１２月１６日の　坂井さんへ
瞳孔が細長く収縮する理由は説明しましたが、なぜ縦ではなく横なのかという
説明が足りませんでしたね。

瞳孔が細長く収縮するのは被写体深度あるいは被写界深度を深くして、目に入
る被写体の輪郭というかピントを見やすくする効果を持っています。
このときに「目に入る」というところが、キーワードなのです。つまり、横長
であれば、そして眼が顔の両サイドに位置する程、広い視界が得られます。

それは肉食獣に捕食される側の動物にとっては、薄暮の世界でも自分に近付く
捕食者の姿を発見しやすいということになります。
反対に猫やキツネでは、餌となる被捕食者との距離感覚が重要になりますので
、その対象に集中して眼を使うことになりますので、顔の前方で縦長というの
が適応の結果ということになるのでしょう。
私が述べた環境というのは、捕食するもの、されるものという薄暮の世界の中
で行なわれている生態を言っています、草原でも森でも岩場でもかまいません。
特定の場所を指して言ったわけではありません。

また、私も山羊や羊の瞳孔が真ん丸になったのは見た事がありません。眼球の
構造上の制約もあるでしょうし、そこまでの暗闇の中で単独で動き回るよりも
家族単位あるいは集団でいると言う事の方が防衛戦略としては効果が高かった
という結果なのでしょう。