獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200302-171

re;子犬の死亡について
投稿日 2003年2月16日(日)20時18分 わたらい先生


>ちゃくあさん

「大勢の方」に読んでいただきたくて書いた文章ですので、個々の事例について例外のの存在する事のある「理想」と受け取っていただいて構いません。

>でも、現実問題として数ヶ月に一回のワクチンや健康診断で
>命を預けられるほどの信頼関係が築けられるのでしょうか?

「命を預けられるほどの信頼関係」と言われれば少し大げさかもしれませんが、以前ワクチン接種や健康診断で自分の病院にやってきたことのある患者と、そうでない全く初めての患者が、同じく「突然おかしくなった」のであれば、僕は明らかに以前に来院のあった患者さんの方が「安心」して診察が出来ます。
たしかに色々な動物病院があるのでしょうが、少なくとも自分自身が、以前に一見「健康」で、問題がない動物であるという事を確認したことがある患者が具合がおかしくなったのか、元々おかしかったのかそれとも今回おかしくなったのかもワカラナイ患者が突然病院の門を叩くのとでは、随分意味合いが違います。
以前に1回くらい来院があれば、聴診くらいはしています。体を触ります。目、鼻、口の異常、皮膚や骨格、生殖器の異常。体に触れるだけでもずいぶんとたくさんの情報が得られるモノです。
僕はあまりやりませんが、ワクチンの前なら体温のチェックや寄生虫の検査なんかも行っているかもしれません。
僕はこういう事の他にも、熱心な飼い主さん、神経質な飼い主さん、マナーの悪い飼い主さん、子供がうるさかった・・・など、その時の心象などもカルテに残します。もちろん、こういった情報が後々の診療を進めるときに大事になってくるからです。
殆どの方の場合、カルテには何事もなく「異常なし」と書き込まれているか、さもなければ空欄でしょうが、(たった1回やって来ただけの)カルテのある患者と診たこともない患者では、こんなに事前の情報が違います。
こう言うのを「安心」、その積み重ねを「信頼」というのでしょう。

世間にはワクチンの料金「だけ」見て、あちこちの病院を渡り歩いている飼い主さんもおられるようですが、たかが「数ヶ月に1回」のワクチンや健康診断を軽く見るモノではありません。
1つの病院で継続して診てもらう意義は大きいこともあるのです。

飼い主さんだけでなく、獣医師の方だって相手を信用しなければ「指1本動かしたくない」事だってあります。獣医師だって「相手を信用して」仕事をしていくのです。
悪い言い方かもしれませんが、1回くらい会っただけでコロッと騙されてるお人好しの獣医さんだっているかもしれませんよ。

そういったキャッチボールを出来なくさせているのが「仕方なく」やってくる飼い主さんです。
「治せば神様」「死ねば人でなし」こういうトンでもないプレッシャーの中で仕事をするのが嫌ならば、「よその病院の患者お断り」といった張り紙を出す病院が出てしまうことを納得しなければイケマセン(本当にやっている病院があります)。患者が助からず、飼い主さんからそういう扱いを受ければ獣医だって心が血を流します。「それ」を理由に未払いなどが起きれば、踏んだり蹴ったりです。そんなことが1年に1回でも毎年続けば、仕事そのものに対して情熱を失います。コレではイケマセン。

最近「仕方なく」かかった病院で起こしたトラブルの書き込みが目立ちます。あきれてしまうような事例もありますし、見るヒトが見ればなるべくしてそうなったようにしか見えないケースもあります。
月並みですが、「賢い消費者」になり、自衛に心がけるしかないのではないかと思います(コレは獣医師の方も、です)
中には「問題提起」と考えている方もいるようですが、「飼い主vs獣医師」という構図が広がっていくことを僕は望みません。
やはり「予防」が一番だと思います。

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