獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200302-41

レス:回虫の感染
投稿日 2003年2月7日(金)12時16分 プロキオン

2月5日の はなえさんへ
結論から言ってしまうと駆虫薬以外に感染の要因が存在したと推定されます。
また、どのように効果がある駆虫薬であろうと体外に存在する虫卵にまでは効
果が及びません。再感染の可能性を防ぐには定期的な駆虫が一番です。

まず、S社から販売されているMという薬品についてですが、
この薬は回虫の駆虫効果について認証されている薬品です。回虫の感染してい
る犬に駆虫薬として服用させることに問題はありません。
成虫にも幼虫にも効果があります。

なぜ、このような質問が出てきたのか、主治医の先生とのやりとりに問題があ
たようですが、
回虫の感染には(1)胎盤感染、(2)経口感染、(3)哺乳感染があります。
もっとも感染の効率がよいのが胎盤感染であり、母犬が感染していれば、必然
的に子犬も感染を受けます。
しかしながら、母犬が定期的に駆虫を受けていれば、母犬が感染源となること
はありません。
それでも、なおかつ子犬が回虫に感染していたというのであれば、子犬の周囲
の環境中に母犬以外の感染源が存在しており、胎盤感染以外の経路で感染した
ということになります。
近所の犬が散歩の際にどこかに排便していって、その中の中卵が何週間何ヶ月
か後に乾燥して子犬の周辺に飛来してきたというようなケースです。

また、定期的な駆虫というのは毎月1回フィラリアの予防薬を服用していれば
充分です。先に述べましたようにMというフィラリア予防薬は回虫に対して十
分な効果がありますので、フィラリア予防のためにこの薬を服用している間は
その他の駆虫薬を服用させる必要はまったくありません。別々に貰っていたと
言う点には首をかしげます。
この期間を過ぎた後であれば、そこではじめて別の駆虫薬が必要となります。

1、母犬からの感染か?
  毎月Mを服用していたのであれば、可能性は極めて低いと思います。
  一般論としては、服用期間終了後に感染した可能性は残りますが。

2、Mに強い副作用があるのか?
  こちらは、薬理作用にかかわる質問になりますが、母犬と胎児に対しては
  誤懸念にはおよびません。
  主たる作用が回虫の呼吸中枢における神経伝達物質の阻害にあります。こ
  の作用が強いために子犬では元気がなくなる等の副作用が見られることが
  ありますが、製品の改善が実施されてからは、成犬ではまず問題ありませ
  ん。
  胎児においては、所謂自発呼吸していませんので、呼吸停止で死ぬことは
  ありません。分娩されてからあまり経過していない子犬であれば、あえて
  いそいで、この薬の服用させる必要はありません。
  呼吸中枢がしっかりしてくる、または脳脊髄液関門が役目を果たすように
  なるまでまって良いと考えます。それゆえ、母犬の駆虫が勧められるわけ
  です。

3、回虫の幼虫にも効くのか?
  むろん、効果があります。
  
  

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