獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200303-99

re;停留睾丸は先天性の異常ですか?
投稿日 2003年3月11日(火)03時19分 わたらい先生

こんにちは。
停留精巣の発生には昔から遺伝の話が出てきますので、先天性の異常に加えますが、内容が複雑で学問の世界でも完全な決着は付いていないようです。
ご存じかと思いますが、多くの品評会、展覧会では停留精巣のイヌは「失格」になります。
出陳そのものが否定されてしまうわけですから、もしも、そういうことを大事にしている方に売ったのであれば、確かに責任問題になるのでしょうね。
教科書的にも、そういう子犬の出る両親のペアは繁殖に用いない方がよい・・という程度のことは書かれています。
(停留精巣のある)子犬の方も種々の行動上の問題、生殖上の問題、病気の問題を潜在的にかかえてしまうので、6〜8カ月齢程度を目安に(それまでに)、去勢手術を行う方がよい・・という事が、やはり教科書を紐解くと出てきます。
もちろん、どうするかは、実際に飼っている飼い主さん達次第です。

ところで、犬種は何でしょうか?

精巣が陰嚢内へ下りてくるのは、生後2〜4週齢頃とされています。
この頃から「ふくろ」を触れば、「たま」が有るのが判るようになります。
しかし、実際には、子犬の体格や精巣の大きさには個人差がありますから、あまりにも小さな「たま」であれば、ワカラズ、からの袋を触って「たま」だと勘違いしているという事もあります。
最終判定は4カ月齢くらいか、さもなければ6〜8カ月齢くらいにします。
単精巣(精巣が体内に一つしかない場合)というのは、医学的に言ってものすごく遭遇頻度の稀な欠陥です。
通常の停留精巣は、探せば体表または体内のどこかに「たま」があります(つまり合計2個ある)。
こういうの「たま」のある場所によって、皮下性、そ径部性又は腹腔内性停留精巣と呼びます。
先方は2件の動物病院で、こういう事を触診によってチェックして貰ったと言っているのでしょうか?
それともホルモンの負荷試験などを行って、無精巣(「たま」が1つもない)の診断をしたと言ってきているのでしょうか?
それぞれ、触れば判りますし、薬を注射して採血をすれば判ります。別に切る必要はないかもしれません。
(単精巣なら試験開腹をしないとワカラナイかもしれません)

先方に渡った後、ある日突然「たま」が無くなっていたという事はないはずです。
子犬を売った側か、買った側に何か勘違いや思いこみがあるように思えてなりません。
診断に関わった獣医師がいるのであれば、診断書を発行するなり、直接立ち会って戴くなどして双方で話し合いの場を持たれてはいかがでしょうか?
(獣医師同士でも言っている事が食い違っているわけですよね?)

こういうの商品の瑕疵(かし;傷のこと)に当たるトラブルだと思います。
つまり、大丈夫だと思って買ってきたリンゴの中に虫が食っているのが判った場合と、同様のトラブルです(法律上はそうなる)。
リンゴの話ですが、生産者農家がどんなに厳格な商品管理をしても、見落としは出ます。
常識的には、別の子犬と交換するか、購入の時に先方が払ったお金を返金して(子犬を引き取って)オシマイにすることが多いと思います。
もちろん、領収書や明細が残っているなら、「診断」にかかったお金も弁済するのでしょうね?
それ以外の費用の分担についてはワカリマセン。
当事者同士の話し合いが大事です。
ダメなら最終的には訴訟・・という事になると思います。この場合は金額が30万円以上になるようなら弁護士を頼って、それ以下なら個人で裁判所に通って話し合いを続けることになります。
この辺は裁判所や法律の専門家に相談すれば詳しいことを教えてくれます。


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