獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200308-122

ネコの歯石取り
投稿日 2003年8月14日(木)23時46分 はたの


 獣医師ではありませんがご参考まで。

 さて、それは本当に歯石でしょうか? 歯石は、歯垢を足場としてカルシウムが固まったものです。ヤカンの内側の白い輪みたいものです。
 ちょっとさぼっただけで作られるとはやや考えづらいものがあります。
 ましてやドライが主ならば。・・・そういう体質のネコが絶対にあり得ないという論拠は持ち合わせませんが・・・。
 
 単に歯垢ということはありませんか? 赤くなっているのはこすりすぎということはありませんか? 
 もしかして、ご自身が、毎食前後に歯磨きなさるなど、歯の汚れに過敏ではありませんか?
 
 ある人からみて「信頼できる獣医師」の条件には、そのひととの相性も含まれます。
 Aさんが信頼できる獣医をBさんも信頼できるとはかぎりません。ご自身で時間と足を使って探されることをお勧めします。「ナニナニが得意な獣医師」というのであれば、もう少しは(常にではないものの)「どの飼い主にも共通な」候補もあり得ましょうけれど・・・。

 予防は、通常、メニューの一部をドライにする程度でこと足ります。全部ドライならかなり十分、全部ドライでうち一部を歯石予防タイプのドライにするぐらいが限界でしょう。
 食前しばらく水を切っておき、食後にのみ飲ませるという手もありますが、ネコにはお勧めしづらいものがあります。脱水その他の、歯石予防効果よりも深刻な害に繋がり兼ねない弊害が考えられますから。

 当該のネコで本当に歯石が健康上の問題になりそうかは、まず「信頼できる獣医師」を歯石以外の件で見つけてられてから、改めて聞いてごらんになられるのがよいかと。急ぐ話ではないのですから。
 歯石の件で探されると、大したことではないという診断の獣医師に対しては、それが妥当でも、疑いたくなってしまうような、現在のお気持ちのように感じられます。

 歯にしても、他の臓器にしてもそうですが、加齢とともに汚れたり弱ったりくたびれたりしていくのは仕方ないものです。他がぴんしゃんしているのに歯だけが悪くて、それが生命を縮める原因にならなければよしとせざるを得ません。逆にいえば、全身が弱ってきてお迎えがこようという時にピカピカの歯であることを目指しても意味はないのです。15年生きるはずが歯石のせいで12年になるネコもいるかもしれません、他方、歯にまったく気遣わなくても20年生きるネコもいます。歯石を無視するのは得策ではないものの、気にしすぎてもしかたありません。
 
 まずは少しく気を落ち着けられて、全体の健康状態との比較において歯の現状がどんなものなのか、遠くから(現実にではなく、心持ちとして)ながめてご覧になってはいかがでしょうか。

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