獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200310-119

サーバルキャット
投稿日 2003年10月13日(月)14時25分 はたの

・・・いいなー。
 飼育経験はありませんが多少の情報を。

 小型ネコ類は、なんとか慣れるものと、どうにも慣れないものがあります。
 たとえばヨーロッパヤマネコは、乳飲み子から育ててもどうしてもダメ。マーゲイは発情してもOKな個体が多い。オセロットは発情するまでならなんとか・・・など。
 サーバルキャットは比較的なんとかなるほうでしょう。比較的類縁・行動パターンが近いカラカルは狩猟のために使役されていた歴史がありますし、ベた慣れになった例を知っています。ボブキャットも割とよろしいようで。サーバルも狩りに使われていた例があったようなあいまいな記憶もあります。
 
 飼いネコでも、抱けないように荒くキツく神経質な個体はありますから、あまり「野生の血が・・・」と構える必要はありますまい。ヒト語でなくネコ語で接することを心掛けられたてはいかがでしょうか。
 「ダメ」と叱るのでなく、「ファッ」と叱る。
 「いい子だねえ」と誉めるのは悪くありませんが、それ以外にも、にゃらうにゃらと誉める。
 もしそのような抑制の萌芽があるのなら、遊びで手を出してきた時に、ヒトが手でふせぐのではなく顔を近づける(引っ掛かれたときの被害は大きくなりますが、抑制が働く可能性が大きくなる。・・・自己責任でどーぞ)。
 押えつける必要がある場合、首の後ろを軽く咬む。などです。
 
 また、繁殖のご意志がないのなら、若いうちの避妊・去勢がお勧めです。飼いネコをヒトが扱えるのは、疑似親子関係にあるからです。群れる動物ではありませんから。
 サーバルもほぼ同様のはずなので、「いつまでも子供にしておく」のがひとつの道でありましょう。

 ただ問題は、体格やパワー、運動性能の違いでしょう。
 多摩動物園でエンリッチメントのひとつとして、ケージの天井から餌をぶら下げてジャンプして取らせる、ことをやっています。高さ4メートルに手が届きます。 飼いネコでも一部個体は人家の天井までジャンプしますが、それでも差があります。
 大きなケージをご用意とのことですが、どの程度のサイズでしょうか? 危険動物条例などとの絡みもありますが、直接飼育ていくのなら、原則として家全体をサーバルのスペースにして、棚などの上には者は一切置かない、台所とかトイレとか寝室とかのヒトの避難所をサーバルのケージの中に作る、ぐらいの覚悟が要るかと。すくなくとも市販の、120×90×60センチ程度のネコケージでは容積が不足しましょう。

 異論おありのかたもおにられましょうが、私は、飼育下で(ことに商業的に)繁殖した個体は、その定義上から、(ごく初期の)家畜と考えますので、野生動物を飼うのがいいの悪いとは申しません。しかしながら、大型犬を飼うに際して、その必要最低限の要求を満たすのにさえ覚悟が要るのと同様に、サーバルを飼う場合も、相当な覚悟が要ると考えます。
 ヒトの暮らしに合うようにしつけることばかり(それも必要ではありますが)考えるのでなく、サーバルの要求に合うように、ヒトの生活全体を変える、サーバルに、少なくとも今後十数年の人生を捧げる、といった取り組みが求められているように思います。いっそそうやって発想を変えてしまうと、お悩みも減りましょう。動物を変えるより自分が変わるほうがラクですから。

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