獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200310-97

再度RE:ワクチン接種に悩んでいます
投稿日 2003年10月11日(土)14時42分 プロキオン

>>獣医師も職業人なのですから、盲目的に毎年接種と言っているわけではあ
りません。地域の疾病の流行事情と市販されているワクチンの適用形態を考慮
しています。
>>ワクチンの効果と費用負担を考えれば、毎年接種が妥当であろうというだ
けのことなのです。


>上記のご回答についてですが、毎年抗体検査を実施出来る人(費用を捻出で
きる人)はワクチン接種の副作用(安全性)を考えれば、年1回の接種は避け
た方がいいということですね。
これがもっとも良い方法ということですね。



まだ、誤解が続いているようなのですが、ともさんのおっしゃられているワク
チンの危険性とはなんなのでしょう?
急性または遅延性にしろアナフィラキシーの症状は、例え、1回の接種であろ
うとあります。回数依存性ではないと申し上げています。
つまり、ワクチンを接種することが望ましくない動物にとっては、最初の1回
だって接種しない方がよいのです。ただ、そのことについては、接種してみる
までは予見できないのです。ゆえに、ワクチン接種後はしばらく待ち合い室に
残っていた方が良いですよという指導もあるわけです。

アナフィラキシーやアレルギーに無関係な子は、毎年接種しても 3年に1回の
接種のであろうと安全性という点については、なんら変わりはありません。3年
に1回の接種の方が安全ということはありません。
「毎年接種すると安全性に問題がある」と考えること事態が誤解なのです。

アレルギーを有する子であれば、接種の都度アレルギー症状を誘起するのです
から、こちらは問題が有ると言えます。
しかし、昨日も申しましたように そういう子はアレルギーを認識しているの
であれば、接種対象から外れるのです。
そういう子達をいっしょに考えているから話が混乱するのです。ともさんの家
の犬がアナフィラキシーやアレルギーを有していないのであれば、ワクチンの
副作用(安全性)を考慮するという点はすでにクリアーしてしまっているので
す。当然、主治医の先生も そのような認識でいるのではないかと推測します
よ。

で、各疾病毎の抗体検査実施後の接種については、ここも誤解されているよう
なのですが、抗体価が充分にあれば定期的な抗体検査によって次回の接種時期
が決まってくるということです。
充分量あれば、それは3年ではなく、5年後とか8年後かもしれません。ただ
し、その間は毎年抗体検査を続けて下さい。その費用がワクチンを接種した方
が安くなるので、あまり勧める獣医師がいないということなのです。

また、さらに 昨日も話しましたように感染を防ぐのに充分でないという検査
結果が出る場合だってかなりありえます。こちらであれば、急いで追加接種が
必要です。ワクチンブレイクが起きているのですから、その後も検査をして確
実に抗体価が上がるまで実施する必要があります。

早い話が猫のワクチンを例にとれば、こちらも3年に1回で良いとしている団
体はあります。
ですが、猫のワクチンは感染を防ぐタイプのワクチンではありません。症状を
軽くしてくれるタイプのワクチンです。こちらなどは、毎年接種していても罹
患してしまう猫はいますよ。複数飼育している方のお宅などに見た目ではなん
ともない子猫がやってきて、大人の猫達が次々と罹患してしまっていくことは
ままあります。血中抗体価は上昇していても、呼吸器粘膜における免疫グロブ
リンの消失が早いためです。
公園や特定の民家の近くに生息する野良猫達などは、慢性化した副鼻腔炎をお
こしており、常に病原体が継代されています。
これらの多数の猫がいるところであれば、1年に1回どころか半年に1回の接
種が必要なのです。それが野外臨床例の実際なのです。実験データーと異なる
ところなのです。

ですから、抗体検査の結果に回答があると述べたのは、「3年に1回で良い」
という意味ではありません。
5年や8年に1回の個体もいれば、半年の間に2〜3回の接種が必要な個体も
いるということです。回答は1頭ごとに異なるのであって、犬や猫の数だけあ
ると言い換えることができます。
抗体検査を実施するのであれば、その検査結果がすべてを左右するのですから、
「3年に1回」という数字が意味を持たないことは明らかです。この数字とて
それを「売り文句」として言い出したメーカーが持ち出してきた数字です。実
際がどうであったのか私達獣医師にもわかりません。メーカーから見れば、私
達獣医師もユーザーにしかすぎないのです。
抗体検査を毎年実施するのであれば、「3年に1回」という数字はむしろ忘れ
てしまった方がよい数字といえます。
検査結果が次回の接種時期を決めてくれるのです。だから、次に何時接種する
かを悩む必要がないのです。

主治医が説明してくれないという話は、こちらの掲示板でも良く見聞きするこ
となのですが、心配して悩むくらいでれば、なぜ、飼い主側から尋ねないので
すか、その際の受け応えこそが、獣医師との信頼感系を築く上で大事なことだ
と考えます。
もしも、キチンとした説明や回答が返ってこない人物であったり、「余計なこ
とを言うな」というタイプの方であれば、さっさと見切りをつけて他所へ行っ
た方が良いです。黙っていたのでは、理解している納得していると判断されて
もしかたない面があります。
ネットでのやりとりよりも、実際に診療して下さる方との人間関係の方がよっ
ぽど大事だと私なんぞは思いますが。
# まあ、これはどなたにも言えることですが。





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