獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200312-189

reトイレの回数の件
投稿日 2003年12月24日(水)11時27分 はたの

第一に、CD3からCDXになることに伴う「排泄しては困る時間」の延長はあくまでもヒトの都合だ、というところからスタートしましょうよ。

 第二に、「セッション途中で排泄してしまった後で」ヨシ、オワリ、を明確にしても、意味が弱い、というのもおさえてください。

 ヒトの都合である「長い時間無排泄」に一気に持ち込もうとするのには無理があります。イヌができること、がスタート地点です。ヒトがやらせたいこと、というゴール地点に向かうためには、一度、スタート地点に立ち戻る必要があります。
 ですから、排泄しないでいられるCD3相当の時間ないしそれより短い単位を1セッション、敢えて休憩を挟み、おだやかにあたりをあるいて排泄を促す、というところから、1セッションをすこしずつ伸ばし(これが主題)、1回の訓練に含まれるセッション数と休憩回数を減らす(こっちは付随するもの)、とするのがよいわけです。
 高得点を狙うことそれ自体は悪くありませんが、CD1→CDXとなるにつれてイヌにとって意味不明な課題が増えること、時間が長くなること、ハンドラーに欲が出て来ること、かつ、1.5倍程度の時間延長が単なる生理的な限界とは思えず別の要因がありそうで、「最近」排泄が増えてきたことからすると、ハンドラーがプレスをかけすぎているのが強く疑われますから、セッション後の自由遊びでなく、セッションそのものをイヌが楽しめるようにしていくことが肝要かと。
 いまは、イヌにとって、セッション中は耐える時間で、よってイヤな緊張でトイレが近くなり、オワリの後の自由遊びは楽しい時間で、トイレなんか忘れている、ということになっていそうです。
 狙いと逆になっているんではないかと。
 セッション後のオワリ、の後は休憩でいいんです、遊びでなく。座って休み(スワレとかの命令はしない。ヒトが率先して寝そべるなどで気分を伝える)、水でものませ、あたりをゆったりと散策(ツケは命じずに)。命令ナシで、排泄しやすい気分にもっていく。・・・訓練前後には遊びもあっていいんですけれども。

 ヒトの欲望はあってもいいんですが、そいつをイヌに直接ぶつけるのは得策ではありません。心の中に秘めておかないと。
 CDXで高得点とらせたいからガチガチ訓練する、というのはちと短絡的です。CDXで高得点をとらせるためには何がいるのか? そりゃイヌが訓練と演技を楽しむことに尽きます。イヌはべつにCDXに受かりたいと思ってなんかないのですから、それとは別のモチベーションが要ります。CD系では課題それ自体にはイヌの楽しみはあまりないのですから、ハンドラーと楽しく過ごすことが大切になります。ハンドラーが、「今日はどこがうまくいかなかった・・・」とばかり悩んでいてはイヌは楽しくありません。何がうまくいった、にしませんと。何何は完全できた、ではありませんよ。「完全に」というのは、「ミスがなかった」を言い換えただけですから。そうではなく、たとえば紐なし脚側行進で、「ハンドラーの顔色を伺いっぱなしでおどおど歩くのではなく、ハンドラーと歩度の調和をとりつつもイキイキと弾むような足どりで歩けた」というようなプラス点を見つけましょう。採点と直接関係ないことでもいいんです。
 試験の採点が減点法だとしても、それがイヌに伝わってはいけません。イヌには理解できません。k1tさんが防波堤になってやって、加点法でトレーニングなさってください。
 k1t さんの欲や問題意識は一旦横においておいて、イヌの身になって、イヌの都合を優先して接してみてください。誉めてしつける、というのは、小手先のテクニックで終わるものではありません。ヒトが「ヨシ」とか「good boy/girl」といえばすむ、というものではなく、イヌが楽しいかが問題なんです。

 結局のところ、実はイヌの側の問題ではなく、k1tさんが、「ぐっとこらえていイヌの心持ちを優先させる」ことを励行できるかどうか、にかかっているように思います。
 細かなミスなんて小さいことです。イヌと一緒に何かができるってそれだけで素晴らしい幸せではないですか。その楽しさで脳の9割ぐらい埋めましょうよ。ミスや課題を覚えておくのは残りの1割ぐらいにして。

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