獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200401-253

マルチレス、3題
投稿日 2004年1月29日(木)12時36分 プロキオン

1月28日の シュナパパさんへ
自己免疫性溶血性貧血の確定診断について検査方法をお尋ねですが、どのよう
な検査を実施しても 検査機関からの回答には病気の診断名はついてきません
。最後の総合的な判断は主治医の判断に委ねられるからです。

簡単に言ってしまうと、外部の検査機関にあらゆる検査を依頼した上での診断
と、患者に触れもしないで目で見ただけの診断でも法律上の重さは同等に扱わ
れます。主治権というのは、それだけ尊重されなくてはならないものなのです。
主治医の診断や治療方針に納得がいかない場合に、患者や飼い主の意志がうま
く伝わらない、説明が一方的であってコミュニケーションがうまくとれないと
いう場合は、主治医の変更をお願いした方が話が早いことがあります。

さて、本題の検査方法ですが、お書きになられていっる疾病について言えば、
「クームス試験」や「抗核抗体検査」のことを指しておられるように思います
。これらの検査でそれなりの回答が返ってくるのであれば、第三者から「?」
とされることは少ないように思います。
ただ、これも「全て」ではありません。陰性の結果が返ってくる中にも、本疾
病しか考えられないという症例はあります。外部検査機関に依頼することにな
る検査ですが、検体の取扱い次第、あるいは疾病のステージによっては、「検
査結果の陰性」が「真の陰性(自己免疫性溶血性貧血の否定)」を意味しない
のです。其れ故、あらゆる判断材料を総合的に勘案しての判断が主治医に求め
られるわけなのです。
# 本当の意味での確定診断であれば、死後の病理検査結果を待たなくてはな
  らないでしょう。

また、貧血の検査でMCVとかMCHC呼ばれる赤血球の大きさや赤血球のヘ
モグロビン濃度が算出されていれば、骨髄における造血機能の状態はおおよそ
ながら、把握可能です。こちらは、病院内の検査でわかるはずです。

この疾病については、稀な疾病とは私は考えておりません。どちらの病院の先
生でも経験をお持ちだと思うのです。何例も経験しておられる先生であれば、
診断に苦慮することもないと思いますし、外部の検査機関に依頼する程のこと
もないと考える先生がいても不思議ではないと考えます。
シュナパパさんの書き込みを拝見する限り、本疾病であるか否かよりも、相互
コミュニケーションの要素の方が大きいように感じましたので、そちらに比重
をおいたレスになりました。お気にさわりましたら御勘弁下さい。


1月28日の まきちゃんへ
聴覚障害の検査というと、人間であれば、ジオメトリーとかジオグラフィーと
か呼ばれる検査があります。就学時の子供がやる「音が聞こえたところでボタ
ンを押す」というあれです。
人間であれば、まったく聞こえないのであれば、医療機関で検査をするまでも
ありませんし、どの領域の音が聞こえないのかという検査になります。
犬の場合ですと、この検査ができません。あらかじめ「音」に対する訓練が施
されていないと、まず不可能といえます。
聴覚の一部が失われていても、変だなと感じる事はあっても特に支障はないで
しょうし、まったく失われていても視覚がある程度の部分を補ってくれている
と想像できます。
私は聴覚障害の犬に遭遇していませんので(遭遇しているのかもしれませんが
)、視覚を遮断した状態で、さまざまな音に対する反応を観察するしか思いつ
きません。
猫の「オッドアイ」に伴う聴覚障害であれば、遭遇しているはずなのですが、
片方の聴覚は健在なのでしょうから、それらしい機能障害として認識すること
はありませんでした。
犬ということであれば、ダルメシアンかな? もし、そうなら進行している病
変であれば、CTやMRIで蝸牛の形態異常が見る事ができるかもしれません
が、ちょっと自信ありません。


1月29日の Peace−lights
お書きになられているような状況であれば、即断はできないように思います。
ある程度の期間入院していただいて、その様子を観察確認させていただく必要
があると思います。
そうでもないと、ちょっとレスの書きようがないと思います。






◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。