獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200410-228

レス2題
投稿日 2004年10月19日(火)12時31分 投稿者 プロキオン

10月17日の タンタンさんへ

すでに みうさんからレスがついていますが、私も同意見です。猫につい
ては検疫制度は、狂犬病予防法において追加されたものです。
他の疾病についてまで、ウイルスや細菌、原虫、寄生虫等の感染を否定す
るものではありません。
狂犬病、そのものについても当該動物が狂犬病に感染しており、狂躁期以
降の状態にないと発見は困難と言えます。主たる目的である狂犬病におい
ても100%の安全保障ではありません。
病原体が感染して直ちに全ての動物が発病するわけではありませんし、発
病せずに病原体を拡散させる個体もいますし、かなりの時間が経過してか
ら発病し感染源の特定が困難をきわめるというケースは多いように思われ
ます。
したがいまして、輸入のための検疫を経ているので、疾病とは無関係とは
なりません。また、同時に「完全室内飼育」についても喧嘩の咬傷からの
感染や交通事故については有効と考えられますが、病原体の侵入に関して
は、完全とはいえません。世話をしている飼い主さんが外へ外出できるか
らには、ウイルスフリーとはなりえません。
「検疫」も「室内飼育」もそれなりに効果があり、意義のあることと言え
ますが、それですべてをクリアーできる程完璧なものではありません。

あまりに神経質になりすぎることもありませんが、質問主旨から考えると
「疾病に感染していることはありえない」という理由としては2つとも弱
いように思います。


10月18日付け 「フィラリア感染犬への投薬について」

私もパールちゃんと同じで、副作用とは考えておりません。主作用そのも
ののように思います。
「フィラリア予防薬」と称されている薬剤は、実際は「体内へ侵入した感
染仔虫の駆虫薬」ですから、その本来の目的を果しただけと考えられます。
当然、この薬の投薬上の注意事項としては、フィラリア感染犬への投与は
避けることとなっています。

ただし、望ましくない作用を「副作用」とする考えも一般的ですので、便
宜上、今回の一連の症状を副作用とみなすことはあると考えます。

検査を実施して感染犬であることを確認して、さらにそれから投与したの
であれば、その結果生じた望ましくない症状(副作用)は、薬剤に責を負
わせるよりも、投与したことに責があります。
事前にステロイド剤を投与しておけば、ショックや副作用は防ぐことがで
きますとは、高名な獣医師の先生もおっしゃられていますが、これは全て
の個体を一括りにした雑駁な考えかたです。
感染した犬によって寄生しているフィラリアの数も その犬における各臓
器の状態も異なります。常にその方法で問題をクリアーできるという保証
はありません。
また、「フィラリア予防薬」自体も2〜3日で失活して体の外へ出て行き
ますが、「副作用の予防薬」の方は、それよりも相当に早く失活していた
はずです。
今回のケースでは、投与後3日で症状が現れたわけですが、1週間後くら
いになって発現するケースだってありえるでしょうし、ならば、「副作用
の予防薬」が事前の1回きりの投与で充分と考えるわけにもいかないでし
ょう。
どうも「フィラリア感染症」に対して、軽く考えていたように思えます。
この点については、主治医の先生の予想が甘かったと言わざるを得ないと
思います。
と、同時に感染犬への投与ですから、飼い主さんへの充分な説明と同意が
必要だったように考えます。飼い主さんも、獣医師の先生が言う事だから
とただ漠然と従うのではなく、キチンと自らの頭で考える必要があります。

「禁忌」「投与すべきでない」「避けるべき」というように表現されてい
る事柄ですから、犬の飼育書を読んでいれば、必ず記載されていますから
本来であれば、獣医師からの説明があった際に納得がいくまで、説明を求
めて欲しかったです。
このような書き方をすると、飼い主さんを責めているかのように受けとら
れるかもしれませんが、自分の犬を守るのは飼い主さんの責務です。主役
は犬と飼い主さんなのです。
獣医師は治るためのお手伝いをしているにすぎないのです。
この「フィラリア予防薬」に対して、お互いにもっと慎重に考えることが
できていたのなら、犬に苦しい想いをさせなくてすんだのではないかと思
えるからなのです。

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