獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200501-161

Re.ウサギの半身不随
投稿日 2005年1月20日(木)10時56分 投稿者 プロキオン

すでに、チーママさんからレスがついていますが、私もレスを重ねさせ
ていただきます。

ウサギという動物は、ひじょうに強い跳躍力をもち、この力を生み出す
後肢とこの力を支える後躯をもっています。
動物病院でも変な姿勢でウサギを保定したりすると、これから逃れよう
として、全身の力を使って後肢で蹴ってきます。この時に後肢のキック
が空振りしたりすると、その力が腰というか腰椎にかかってしまい、腰
椎の中の脊髄を損傷したりすることがあります。
そのためにウサギの取り扱いにおいては、不安定な状態での空中キック
はさせてはならないと、されています。
投稿された文面を拝見していて、どうもこの「空中キック」があったの
ではないかと想像しています。

このような場合であれば、まず、排便排尿の異常の有無は確認しておく
必要があります。( 文面からではおそらく大丈夫ということだと思い
ますが )
そして、後肢の不随であれば、こちらについては、脊髄神経の損傷の程
度如何ともいえますが、まず、やらなくてはならないのは神経の浮腫の
軽減であり、フリーラジカルによる持続的な侵襲を防ぐことです。これ
らは、ステロイド剤やビタミンB製剤の投与が必要と考えられます。
また、使用しないことで後肢の筋肉や関節が萎縮して固まりやすくなる
のを防ぐために、足は常に人間が曲げたり伸ばしたりをしてあげて動か
していた方がよいように思います。
事故がらみで半身不随となった猫達の場合であれば、上記のような処置
で後肢が使用できるようになった猫達がおります。約1週間くらいで回
復の目処が出てきています。
ですから、診察された先生が「1週間で」とおっしゃったのは、このあ
たりの数字ではないかと考えます。

で、私が伝えたいことはと申しますと、この場合の「様子を見る」は何
もしないことではなく、「回復するための処置や努力」を含んでいまし
て、何もしないままを眺めていることではありません。
神経の損傷からくるようなケースであれば、どれだけ早く治療を始める
かによって治癒率に差が生じるはずです。このことは、きわめて大切な
ことですので、伝えておきたいと思いました。

私はウサギでの症例は経験ありませんが、猫であれば、四肢麻痺が2頭
後肢麻痺が2頭経験しておりまして、治癒しなかったのは、後肢麻痺の
1頭です。3頭は治癒しています。
治癒しなかった1頭というのが、治療にとりかかるまでの時間のロスが
主因であったと考察していますので、ぜひにも早く治療の必要があると
言いたかったということになります。

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