獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200501-82

マルチレス、2題
投稿日 2005年1月12日(水)12時24分 投稿者 プロキオン

1月11日の いとみさんへ
フェレットという動物自体が、免疫をどこかに置き忘れてきたような動物
であって、飼育していくうえで手がかかることは多いようです。
3ヶ月齢以降の避妊去勢手術であれば、「副腎腫瘍」が少なくなるのかと
いう御質問ですが、
まず、実際には「副腎腫瘍」ではなく、その多くは「過誤腫」ではないか
と私は考えています。
「腫」の文字が付きますが、これは腫瘍ではありません。臓器が腫大して
いて、あたかも腫瘍を疑う程大きくなっていて、それに機能亢進が伴って
いる状態です。
片方の腎臓を摘出すると、残った片方が代償性肥大を伴って大きくなり、
機能的のも2つの腎臓分の働きをしてくれるようになるものです。

生後間もない時期というか、生体の生長に必要な時期に卵巣が取り除かれ
てしまうと、生体としてはそれを補おうとする働きが生じます。その時に
卵巣と同じ胚葉起原である副腎が本来卵巣から分泌されるであろうホルモ
ンを補おうとするわけです。
このために、副腎は本来の自分の仕事以外に卵巣のホルモン分泌も担わな
ければならず、機能亢進の必要性から腫大して働こうとすることになりま
す。おそらく、このことが副腎があたかも腫瘍のように大きくなる理由で
はないかと言われています。
そして、機能的に代償しいてくれている期間は良いのですが、やがてそれ
が過剰となってしまった状態というのが、疾病として認知されるというこ
とになります。
本来の「腫瘍」というものは「細胞数の異常な増殖」と「細胞の異型性」
を伴うものです。所謂フェレットの「副腎腫瘍」と呼称されているものは、
その全てが副腎の「腫瘍」であるとは限らないように思います。
症状が発現しているからには病的であるのには違いないのですが、「腫瘍
」程は深刻に考えなくてもよいように思います。現に、副腎機能を削る薬
剤(オペプリム製剤ではなく)も紹介されてきています。

また、御質問本来の「2ヶ月」「3ヶ月」という月齢とのかかわりについて
てですが、これは、キチンとした統計はないはずです。
というのは、フェレットの場合、出荷までに生産農場の方で処置してしま
っていますから、7ヶ月、8ヶ月齢での避妊個体という症例に極めて遭遇
し難いわけになります。
早すぎる避妊や去勢は、副腎腫瘍を誘発しやすいと警鐘を鳴らす事はでき
ますが、考察することまでは可能なのですが、事実としての比較データー
を提示する事にはフェレットの流通システムが壁となっていると考えられ
ます。
フェレットの所謂副腎腫瘍については、何度も過誤ログで取り上げられて
おりますので、この掲示板の過去ログ検索機能を用いて、そちらも参考と
してください。


1月11日の サナさんへ
サナさんの年齢は何歳なのでしょうか? それとも携帯からでまとまった
入力がむずかしいのかな?

1、「鳥類と哺乳類の解剖学的な違い」
これは、サナさんの年齢と質問してきた目的によって回答が変わります。

高校生大学生なら、他人にものを尋ねるときのマナーからの話になり、そ
の後、図書館図書室へ行って図鑑をひくことを伝えることになります。
中学生であれば、理科の教科書でちょうど取り上げられていませんでした
かとなります。

総合学習の一環なのかもしれませんが、それであれば、なおのこと、機械
に尋ねているのでは無く、人間に尋ねているのだという事実を肝に命じて
置かなくてはならないでしょう。

小学生であれば、犬と鳥の絵を書いてみましょう。違うところはどこです
か? 足の数、翼の有無、嘴と牙に相違、いえいえ、それだけではなく、
羽毛の存在も見落とさないでね。となります。

サナさんが大人であれば、「気嚢を始めとする呼吸器の形態とその機能」
「腎臓の形態と尿酸生成機能」「そ嚢、筋胃、総排泄孔」と答えるべきか
もしれません。

2、「鶏が病気にならないための手段」
日常の衛生管理とワクチンの励行です。とりあえず、鶏において流通して
いるワクチンがある疾病を挙げますと、次のとおりです。

ニューカッスル病、伝染性コリーザ、伝染性気管炎、マレック病、伝染性
ファブリキウス病、産卵低下症候群、サルモネラ病、マイコプラズマ病、
伝染性喉頭気管炎、鶏脳脊髄炎、鶏痘、コクシジウム病

法定伝染病や届け出伝染病に指定されていても、ワクチンが製造されてい
なかったり流通していなかったりしますので、これらについては、不特定
の外来者をお断りしたり、消毒や衛生管理に頼らざるをえません。

3、「家禽の飼育者の義務」
家禽について限定されてしまうと私には分かりかねます。各県に設置され
ている「家畜保健衛生所」にお尋ねした方が得策でしょう。
動物を飼育している者ということであれば、動物にとって何が必要かを考
える視点とでも申しましょうか。
と同時に「周囲の人々に迷惑をかけない」というマナーは最低限必要でし
ょうし、動物に関わる法律について、これを学び遵守することだと思いま
すよ。
簡潔の言えば、「責任を負えないのであれば、その動物を飼育するべきで
はない」ということになります。


◆獣医師広報板サポーター◆
獣医師広報板は多くのサポーターによって支えられています。
以下のバナーはサポーターの皆さんのもので、口数に応じてランダムに表示されています。

サポーター:新日本カレンダー株式会社ペピイ事業部様のリンクバナー

サポーター:ペットコミュニケーションズ株式会社様のリンクバナー

サポーター:ペット用品通販Gズ\ィエ.COM有のリンクグオー

あなたも獣医師広報板のサポーターになりませんか。
詳しくはサポーター募集をご覧ください。

◆獣医師広報板メニュー
獣医師広報板は、町の犬猫病院の獣医師(主宰者)が「獣医師に広報する」「獣医師が広報する」
ことを主たる目的として1997年に開設したウェブサイトです。(履歴)
サポーター広告主の方々から資金応援を受け(決算報告)、趣旨に賛同する人たちがボランティア
スタッフとなって運営に参加し(スタッフ名簿)、動物に関わる皆さんに利用され(ページビュー統計)
多くの人々に支えられています。

獣医師広報板へのリンクサポーター募集ボランティアスタッフ募集プライバシーポリシー

獣医師広報板の最新更新情報をTwitterでお知らせしております。

Copyright(C) 1997-2024 獣医師広報板(R) ALL Rights Reserved
許可なく転載を禁じます。
「獣医師広報板」は商標登録(4476083号)されています。