いまお手元にいるネコを自分の手で殺すことをリアルに想像してみましょう。くびり殺すのでもいいですし、包丁で首を切るなり、かなづちで頭を潰すなり、なんでもけっこう。
　ただし、捨てるとか、獣医師に殺してもらうとか、保健所に持ち込むとかはナシで。

　イヤでしょう？
　そのイヤさに吊り合うだけの、飼い続ける、あるいは、里親を探す《具体的な》努力をなさっていますか？　大学は休学って手もありますしね。

　どんな大富豪であっても、世界中の不幸な動物を救うことなんかできません。それぞれにできる範囲があり、力が及ばない部分に関しては悔しさを噛み締めるしかありません。
　状況が変わって力が及ばなくなったのなら、責任をとって殺す、その辛さを引き受けるか、別の犠牲を払って状況を変えるしかありません。どちらを選ぶかはご家族の選択です。が、どちらかを選ばなくてはならないのです。

>今の世の中は、動物は人間の都合で追いやられたりしなきゃいけないのでしょうか？

　というようなマクロな見方をなさるのでしたら、「欲望の植物誌（八坂書房）」のご一読をお勧めします。飼われたり栽培されたりする生物はヒトの都合に振り回されて殺されますが、そのかわりに、そうでない場合にくらべてはるかに多くの個体数を維持して繁栄している、ということがわかります。
　世の中の問題ではなく、個人の決断であり、責任の取り方なのです。
　ネコを殺して、その後悔を一生背負っていくもヨシ、別の犠牲を払うもヨシ。肚をくくりましょう。