獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200506-85

マルチレス
投稿日 2005年6月13日(月)14時39分 投稿者 プロキオン

6月11日の まーさんへ
犬と猫では、体重は異なっていても、ワクチンの接種量は同じになるの
が普通です。
例えば、チワワとセントバーナードと随分と大きさが異なりますが、そ
のような場合はどうすると思われますか? やはり、同じ量が原則なの
です。これは、ワクチンに含有されるウイルスの量に依存しているから
です。現在我が国で使用されている狂犬病ワクチンは、国の検定におい
て、10mlにつき10の8、5乗のウイルス量が含有されています。
つまり、接種量1mlであれば、1千万〜1億個のウイルス量に相当す
るということになります。
これだけの量の前では、体重が10kg違うというのも、あまり問題に
ならないように思います。体重が犬と比べて少ないというよりも、免疫
を獲得するのに必要な量を投与するというように御理解下さい。
ただ、日本は狂犬病清浄国ですので、使用されるワクチンは不活化ワク
チンであり、免疫獲得のためにそれだけウイルスの量を必要とします。
インドにおいては、生ワクチンが選択されているかもしれず、この場合
はウイルスの量はもっと少ないのではないかと思います、
しかし、ウイルスの量は少なくてもウイルスが生きているものであれば
それだけ反応も予想され、発熱や一時的な元気消失はあるかもしれませ
ん。おそらく、そういうことではないかと推測します。


6月11日の ギャングさんへ
血液検査では異常が見られていないということなのですが、腹水症とい
うことが、臨床上の異常に相当します。
直前にあるフィラリアの腹水症の話が参考になるかと思いますが、腹水
が貯留するからには、循環器としての心臓の機能低下がまず考えられま
す。そして腹腔内の各臓器の血液を環流している肝臓と余分な水分を排
泄している腎臓です。血液検査で伺い知るとしたら、肝臓と腎臓のこと
なのでしょうが、どちらも頑張り屋さんですから、数値としての胃常値
が確認されないことはあります。
また、これらの三者に本当に異常がないとして、腫瘍の存在も考慮しな
くてはならないのですが、子宮蓄膿症を疑って開腹しているのであれば
一応、腹腔内に確認済みということなのですよね?
また、肥満から循環機能に負担がかかって、腹水が貯留することもある
ようですので、書き込みの情況からは、そちらの検討もされたらよいと
思います。


6月12日の ネコのシッポさん
よくぞ、いらして下さいました! この掲示板には、社会人になってか
ら獣医師の道を志す方の質問がたびたび登場しますので、30代の学生
さんということであれば、よき実例です。そのような皆さんの励みとい
うか目標になると思います。
初めての手術で、手が震えるというのは、恥ずかしいことではありませ
ん。私はむしろ好感を覚えます。
初めての手技であれば、私は今でも手が震えます。自分では、そんなに
緊張している自覚がないのに いきなり手がふるえ出すこともあります。
観客がいなくても、そういうことが起きるのですから、これはしょうが
ないです。あせってもみてもドツボにはまるだけですから、まずは落ち
着くことです。肩の力を抜いて両手をブラブラさせて深呼吸です。
実習ですから、まわりの観客も自分と大差があるわけではありません。
手が震えるのなら、震えが止まるのを待ってからでよいのです。「早く
やれ」と急かす者の方が間違っています。
どうしても止まらない場合は、手術代に腕や肘を固定して震えの範囲を
小さくしたり、呼吸をとめたりしてのぞみます。
心臓の動悸と震えは、意外に連動していて、息を止めると、心臓のドキ
ドキで震えているだなと感じたりします。大事なところは呼吸を止めて
操作したりしますが、止めたままというわけにもいきませんから、手術
の操作をやっては休みの繰り返しです。2〜3回繰り返すと、呼吸をと
めるのが面倒に感じるはずです。
そのときには、もう震えていないはずです。
バイアスロンの選手なら、スキーの距離と射撃の複合ですから、動悸に
よって、射撃の狙いが定まらないということは慣れっこでしょうから、
できるだけ短時間で、呼吸を整えて、狙いを定めるという術を御存知か
もしれませんね。


6月12日の まめこさんへ
>手術をした病院へそれを言うと『膀胱を傷つけるから自然に出る様に
 なるのをまつべき』と言われたのですが、自然に出る様になるにはこ
 の半身不随が治るのを待つしかないと思うのですが・・・でもこの半
 身不随が治る確率は低そうですし・・・。

膀胱から自然に排尿されるようになるというのは、膀胱の括約筋が長時
間の緊張(収縮)に耐えることができなくなって、やがて麻痺してくる
現象のことを言ったのではないかと思います。
神経の損傷から排尿に著しい困難を伴うようになった子は、半身不随の
こととは別個に排尿させることができるようになります。「自力排尿」
ではなく、飼い主さんが搾っての「他力排尿」ですが、カチンカチン
のどうにもならないレベルではなくなります。排尿できないと言う現象
は命に関わりますので、容易に搾れるようになるまでは、病院の手助け
が必要ではあります。
半身不随で飼い主が尿を搾っているという例は、比較的多く遭遇するこ
とができます。私のところのネコもそうですし、過去ログを検索してみ
れば、その都度、取り上げられています。


6月12日の ナーシャのママさんへ
アカラスの診断に間違いがないのであれば、ステロイドで掻痒を一時抑
制することよりも、そちらの駆除が必要です。
アカラスをなんとかしないで、そのままにしておいたのでは、まったく
意味がありません。
また、痒みの対策としてであれば、薬用量がまったく不足しています。
その量では服用させることに意味がありません。薬剤は、必要な量を必
要な期間投与してはじめて有効となります。
主治医の先生と、どのようなやりとりをされているのか不明ですので、
詳細には立ち入りませんが、通常、アカラスに対しては、ステロイド剤
は用いないのがベターなのですが、激しい痒みがあるとか、膿皮症の併
発があれば、患者自身がそれ以上皮膚を掻き壊さないように処方される
こともあります。このことは差程珍しいことではありません。
ただ、その場合は、量はもっと多いですし、期間は短くになります。


6月11日の チャリ族さんへ
魚が対象であれば、水産学部と言いたいところですが、とくに生態とい
うことであれば、文字どおり生態学の講座をもっている学校ということ
になります。
水産も農学も、普通は増殖に主眼がありますので、よくよく開設されて
いる講座を調べる必要がありそうです。また、某大学のように日本猿の
研究している先生が他所の大学へ移ってしまって、それっきりというこ
ともありますので、かなりあやふやな点もあります。
うまい例というのがないのですが、あちこちの水族館に大勢の学芸員を
出している大学ということにでもなりましょうか?


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