獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200604-16

>ショップ経営さんへ
投稿日 2006年4月3日(月)11時20分 投稿者 プロキオン

>レントゲンは飼い主様が持っているようなので、飼い主様のお返事次第では借りる
 ことが出来ます。ですので、このような質問をさせてもらいました。

レントゲンフィルムは、獣医師ではなく、飼い主さんが保管しているということなの
ですね。ちょっと、驚きました。
獣医療法では、その第21条において、診療簿や検案簿の「記載」と「保存」が義務
づけられています。レントゲンフィルムは、物品としては診療簿とは異なりますが、
診断の根拠となるものですから、当然同様に保存の義務があると解するのが、一般通
念と言えます。
このフィルムの保存は、どのくらい期間が妥当なのかというような質問も獣医師雑誌
などでは目にすることもあります。当然、カルテ(診療簿)と同等の期間という回答
になっています。
また、この保存年限も法律では、3年と定められていますが、この3年も当該患者に
ついての「最終記載から3年」ではなく、当該患者に対する「診療が終了した日から
起算して3年」と解釈するのが妥当であると解説されています。
この保存義務を守らなかった場合は、20万円以下の罰金ということが同法によって
定められています。
このことと、患者の守秘義務から、飼い主でない者が、レントゲンを見せて欲しいと
要求しても困難なのではないかと考えておりました。う〜ん、前提が成立していなの
ですね。

痙攣を起こす程の衝撃が加えられた痕跡があるか否かのフィルムですから、写ってい
るのであれば、自分が口にしたことの根拠ですから、それこそ大切に保管しておかな
くてはならないし、仮に写っていなかったのであれば、何故、そんなに安易に他人に
渡してしまうのか理解に苦しみます。
写っていても、いなくても、当該患者が灰になってしまったからには、唯一の客観的
な物証なのですから、法律の定める年限以上に保存しておかなくてはならないものと
言えます。

同法、同条の第3項には、必要と認められるときには、この診療簿を国や県が検査で
きるという規定があります。もし、この立ち入り検査が実施されたとして、レントゲ
ンフィルムがなければ、獣医師自身の立場が悪くなりかねません。
それにもかかわらず、飼い主さんが持っているとは…。

いずれにしても、主治医の先生も大学病院へ行くことを勧めていたのに飼い主さんの
方で断ったのであれば、飼い主さんは自分の意思で選択した結果と言えますので、シ
ョップ経営さんが想い悩む必要はないでしょう。
飼い主さんの気持ちの問題ですから、再度言われてくるようであれば、レントゲンフ
ィルムを第三者に読影してもらうことを、再び提案してみてください。
交通事故で顔が腫れて目が塞がるほどの衝撃を頭部に受けたとして、怖いのは、頭蓋骨
内の出血と脳の浮腫です。疾病に由来する脳炎との差は、病態とその推移で鑑別が可能
ではないかと経験的に考えております。

飼い主さんは、まだ愛犬の死を受け入れることができないで、「もし」「たら」「れば」
で揺れているだけなのでしょう。
獣医師という職業もまた、これらの単語のために、身に覚えのない疑われ方をすること
はあります。悪評を流布されることもあります。直接対峙して晴らせる汚名であれば、
それはましなものです。普通は、日々の診療を通して、信頼をとりもどしていくしかな
いことなのです。
ショップ経営さんのところで、何もなかったであろうことは、投稿を読んでいて、私は
信用できると受け取っています。飼い主さんは、ペットロスに陥っているのです。弁護
士云々ではなく(対決するのではなく)、支えてあげようという接し方でよろしいので
はないでしょうか。
それでも、なおという場面になったら、第三者に読影してもらいましょう。

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