獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200604-187

ともさんへ(マイボーム腺腫など)
投稿日 2006年4月22日(土)02時12分 投稿者 山下 貴史

ともさん、プロキオン先生、田口先生…こんにちは。なんか・・・ともさんも恐縮しちゃうような怖い(?笑)雰囲気なのでついつい・・・の(たまに出てきてますが…)山下と申します。獣医師をしております。こちらを読んでいらっしゃる一般の人(ともさんたち)に分かってもらえたらいいなぁと思って…まぶたの「できもの」について、少しだけ書いてみます。(けっこう多い病気のカテゴリーですから)

1)「ものもらい」と俗称で呼ばれるものには…
 急性の炎症(化膿性)
  外麦粒腫:睫毛の汗腺や毛根の炎症
  内麦粒腫:瞼板腺(マイボーム腺)の炎症
 慢性の炎症(肉芽腫性)
  霰粒腫:瞼板腺(マイボーム腺)の慢性炎症によって肉芽腫化したいわゆるイボで、こうなるとこのモノ自体は痛くはないはずですが、大きくなると眼を刺激しちゃいますので邪魔です。

2)これと違うもので「まぶたの腫瘍(イボ)」としてもっとも多いものには…
 瞼板腺腫(マイボーム腺腫)
があります。他の腫瘍もありますが、田口先生も書かれている通りこの良性の腫瘍が圧倒的に多いといわれています。今回はともさんの投稿では「マイボーム腺腫」「良性」とありますから、上の分類の「腫瘍(イボ)」にあたるものがもっとも予測できるかと思います。マイボーム腺(瞼板腺)の管部の腺上皮から出てくる腫瘍です。

ちなみに1)の「ものもらい」の内麦粒腫と霰粒腫は親戚同士(誤解あるかなぁ?親戚ってなんだ!?って)のようなもので、内麦粒腫はあまり勝手に潰れる(排膿)ことがないので長期炎症により肉芽腫になったものを霰粒腫と呼びます。

つまり、プロキオン先生もご自身で書かれているような「マイボーム腺腫と一律に呼んでしまうことが、改められている」と考えていいということです。

ついでに、1)の「ものもらい」と2)の「腫瘍」の区別は、見た目ではつきづらい場合もあるかもしれませんが、もともと出所が違うので根っこのところを見ると違いが分かるものも多くあります。

処置に関しては既出なので、ここでは割愛いたします。

なお、プロキオン先生の書かれいている「某先生の昨年末のセミナー」も「肉芽であれば炎症そのもの」というプロキオン先生のお考えや「セミナー講師の先生の指摘の『腫瘍のほとんどがマイボーム腺腫』」ということも「CAPの印牧先生の外科療法」も全てあっていると思います(当たり前ですが)。おそらく、眼瞼の腫瘤の取り方に重きを置いたので、その腫瘤の種類はどうでも良いということではないでしょうか?また、プロキオン先生のお考えの「自然発生的には腫瘍より炎症が多い」もあっていると思います。実際、霰粒腫は老犬に毎日のようにたくさん見ますし、マイボーム腺腫は時々見るくらいですよね。5mmを越えた霰粒腫はV字やH型スライドなどで切除すべきだと思っていますが、小さければ最低限の管理だけでいいというのも同じ考えです。

最後にともさんへ。摘出した腫瘤(イボ)は必ず病理検査に出してその腫瘍の種類やタイプを知っておくことが今後の対策につながりますので、1万円以上の高額な検査になりますが実施されることをオススメします。(もしかしたら、霰粒腫なのかもしれないですし。だとしたら、蒸しタオルや薬なんかを使った管理で予防できるかもしれませんよっ♪)また、顔(目)の変形はまぶたの1/3以下ならば思ったほどひどくないと思いますので、ご安心ください。どうでしょう?シェルティさんにもいろいろおりますので1cmの占拠具合が分からないのですが。

田口先生、もし訂正があればご指摘お願いいたします。

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