獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200608-71

獣医学生さんへ の関連
投稿日 2006年8月11日(金)00時07分 投稿者 はたの

簡便にするためにヒトの医療に置き換えます。

a チーム医療において、チーム内で話をする
b 【a】の結論を主治医が患者に話す
c 患者の前で、チーム内で話をする
d 『他の耳目があるところで』チーム内で話をする
e 『他の耳目があるところで』【a】の結論を主治医が患者に話す

 全部異なります。
 チーム内の話し合いは、第一に患者以外に対しては秘密にされるべきです。だから待合室で話してはいけない、わけです。
 しかし、患者に対しては秘密にすべきではありません。チーム内から忌憚ない意見が上がるのを期待して患者のいないところで話すのは結構。しかし、もし患者が、主治医に対して、「主治医のアナタがまとめた見解は理解した。チーム内の他のスタッフの意見はどうであったか」と問うた時には、隠し続けることは許されませんね。自己決定権に関わることですし、インフォームド・コンセント、カルテの開示等の根幹に関わることです。

 さて、今回のケースでは、”獣医学生さん”は(別に指導医を仰ぐとしても)主治医(の一人)であり、かつ畜主(の一人)でもあります。
 (の一人)を問題にするならともかく、個々人を特定できない場ですから、その必要はありません。
 畜主としての権限によって、公開の場で他の意見を問うことには何の問題もありません。
 患者本人がテメエの病態や治療の経緯を大勢のひとに開示するかどうかは患者が決めることです。獣医療の場合、患者の代理人たる畜主にその権限があるでしょう。

 患者(畜主)である属性と主治医である属性のどちらが優先するかと考えたとき、前者が優先します。自分の主治医である、という医師は大いに存在し得ますが、意識不明になっても自分の主治医であり続けるわけにはいきませんものね。
 今回の相談に対してレスされたみなさまの多くは、この二重性を見逃して主治医としてのみ見るか、さもなくば、畜主属性の重さを看過されたのではないかと思います。
(それらを判っていてなお、クローズドに誘導したとは思いたくない、ということです)

言い換えると、獣医師が自分のイヌについて、「私の知識技術では追いつかない、知恵を借りたい」と公表した時には、畜主属性が優先されるべきであり、あえてクローズドに誘導する必要はないし、そうすべきでもない、ということです。畜主が待合室で話してもいい、誰に聞かれてもいいといっているのに妨げんとするは、患者(=畜主)の権利の侵害でしょう。

正直なところ、”獣医学生”さんがこのあたりに自覚的とは思いませんし、先輩である獣医師諸賢が”ついつい内輪モード”になってしまったのも理解します(書き込みのタイミングもありますし)。しかし、このあたり、「患者の自己決定権を医療関係者が敏感に厳しく尊重するか?」の試金石でもありますから、とにかく話は裏で聞こう、ではないご対応を期待いたします。

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