獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200609-109

>ニャンさんへ
投稿日 2006年9月7日(木)12時22分 投稿者 プロキオン

>肺転移というと、長くても半年と言われたり、呼吸が苦しくなるなど、かなり末期のイ
 メージがありますが、実は、うちの猫は肺転移がレントゲンで発見されてから1年2ヵ
 月経っており悪液質ではありますが、肺転移の影響はさほど出ておらず、波はあります
 が、エサもきちんと食べてくれます。

ここはちょっと驚きました。普通、肺に転移病巣が確認されれば、半年くらいというの
は通り相場のようなものです。確認されてから1年2ヶ月の生存期間があるというので
あれば、これは凄いことです。
転移病巣の拡大はないのでしょうか? 治療方法に正直興味を惹かれますね。

>そこで、手洗いやアルコール消毒をしていたのですが、ジステンバーを起こすパルボウ
 イルスはアルコール消毒でも死なず、とても強力なウイルスと知りました。

ジステンパーは、Distemper が綴りとなりますが、temper(調子)を否定する接頭語と
してDis が付いて「不調」を意味する言葉であると教わりました。本来はパラミクソウ
イルス属に該当するジステンパーウイルスが病原体である犬の疾病であり、パルボウイ
ルスとは異なる病気あり、病原体も別です。
おそらく猫のパルボウイルス感染症が俗に「猫テンパー」と呼ばれていることで混同さ
れてしまっているのではないでしょうか?
ジステンパーウイルスは、感染力こそ強力ですが、消毒薬には反応するというのが私の
理解しているところです。
猫テンパーの方のパルボウイルスであれば、たしかに消毒しても、なかなか清浄化に至
ることに時間が必要とされます。

>ワクチンを打っても期待される抗体価が得られない、というのは乳腺腫瘍、肺転移、自
 壊、悪液質、貧血の15歳というコンディションではどれくらいの確率で起こってくる
 のでしょうか?
 また、全く抗体価が得られないことはどれくらいあるのでしょうか?

もっとも、お知りになりたい事柄というのは、こちらの質問だと思いますが、私は街の
一臨床医にすぎませんので、これらの具体的な数字は承知していません。
理論上、当然考えられることだということまでです。
実体験としても、疾病末期になって、ワクチンの有効期間内(1年以内)であるのにも
かかわらず、手を焼いたというようなことです。

大学などで、このような症例を研究しているとか、ワクチンメーカーの方で事例の収集
をしているというような場面でもない限り、具体的な数値は把握していないと思います。

15歳で肺転移があって、悪液質に陥っているのであれば、ワクチン接種に反応しない
と言う事例も充分に予想できることのように考えられます。
これは、よく成書に悪疫質の場合に免疫が期待できないことが言及されているからです。
ですが、ニャンさんがそこまで猫を感染症から守りたいと考えているのであれば、私は
駄目もとで接種してみてもよいのではないかとも考えます。少なくとも、猫パルボのワ
クチン成分のウイルスは不活化されており、ウイルスはあらかじめ殺してあるはずです
ので、これによって発病するということは考えられませんので。

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