私は学生時代に家畜保健衛生所に実習に行きましたが、そこで研究室はどこかと尋ねられました。まだ所属していないと答えると、それならこういう研究室が良いよと３つ程教えられました。これは求められている即戦力という考え方からですね。
また、同級生には「臨床（家畜共済）を志しているのだから、学生のうちに恥をかかないだけの基礎を身につけておかないと」という意見の者もいました。小動物診療を志望している者の中には研究室に所属せずに直に街の臨床医のところのお手伝いに行く者もいるわけでして、そのような中での意見です。
卒業してからもう一度基礎医学を学びなおすのは大変ですし、なかなかできることではありません。時間を無駄にしたくないという彼の考え方は、もの凄く納得できるものでした。

ただ、今になって考えると、別に若いうちの時間の無駄というものに　さほどのことがあるのだろうかとも思います。
そんなことも知らないのかと恥をかいてみるのも、それはそれで勉強になるように思います。その体験から、学ぶものがあるのであれば、それは糧となることです。基礎医学であれ、臨床医学であれ、いずれも経験していない未知の領域というものは存在します。分かっているだけの事を他人から教えてもらうというだけであれば、それこそが授業料を払っている学生と同じ意識だと思います。
臆することなく学ぶ心構えがあるのであれば、どの分野であろうとかまわないように思います。修正のきくだけの時間は、まだまだ充分にあるようですから。