獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200810-96

Re:ブルセラ
投稿日 2008年10月23日(木)12時46分 投稿者 プロキオン

まずは、この意見交換のフレーム右側にある管理人の意見「ブルセラ撲滅を目指して」をお読みいただけましたでしょうか?
だいたいのことは、そちらに記載されておりますが、この病気がいかに問題のある病気かということが御理解いただけるかと思います。

さまざまな意見があるというのは、病気がそのものの問題がいうことではなく、むしろ、問題があるからこそ、自分自身が飼育している犬を病気恐さから捨てたりしないでという
意図(願い)があって、「治る病気だから」という表現が出てきているように考えます。
この「治る」というのが、人間に置き換えると「治療の効果が出て、特有の症状が治まって、病院から退院できますよ」という意味のことでしょう。
原因となる細菌は、それ以降も長く体内に存在し続けて周期的に体調不良の原因となりえます。「完治しがたい」という意見は、そちらの方を表現しています。

事が人間に生じているのであれば、安易に患者を見放すということもありませんが、犬が患者という場合には、病気の感染を恐れて犬を見捨てるということが、万人とは申しませんが、しばしば起こり得ることです。ブルセラに罹患した犬を飼育しつづけるということは、やはりかなりの負担となります。
でも、今まで一緒に暮らしてきた犬であれば、簡単に見捨てないでいう想いは獣医師であれば誰しも願うところです。排泄物の処理だけでなく日常生活でも注意しなくてはならない事は多くなります、治療のための薬剤も1種類ではなく、それこそ長期間に亘って服用が必要です。金銭的な負担もそれだけ大きくなります。それでも犬を見捨てないでということになると、飼い主さんには希望をもっていただかないとなりません。「治る病気です」という意見は、そういう気持ちが込められた意見とも言えるのではないかと私は考えます。
この病気がどのような病気であるかという事については、牛・豚・綿羊山羊で充分に知られてきています。犬においては研究が浅いと言うよりは、対象にするまでもない動物という経緯だったからでしょう。(比較的病勢が軽かったのも理由の1つですが)
ワクチンも研究されましたが、この原因菌が細胞内寄生をおこすというか、免疫細胞に捕食されても消化されずに、その細胞の中で生存しつづけるようなところがあって、なかなか有効なワクチンも製造できないできています。
昔から存在していて、今現在も防圧できないでいるのですから、手ごわい病気であるということが事実なのです。犬の病勢が軽ければ、他の動物にくらべて不顕性感染がおきやすく蔓延しやすいことにつながります。
今、感染している犬の飼い主さんであれば、「あなた以外に当該犬の面倒をみる人は他にいませんよ、どうかその犬を見捨てないで下さい。」ということを伝えたいです。
感染犬と関係がない方であれば、「あなたの犬が感染しないように守ってあげてください。」と言わなくてはなりません。
そして、和泉のブルセラのときのように集団感染があるのであれば、防圧には 一時的な感情よりも公衆衛生学的な見地からの冷静な判断が求められます。感染を拡大させないように感染犬をこれ以上増加させないようにということが まず必要ではないかと思います。
少なくとも感染犬の面倒をみるということは、この病気のことを充分に知っている者であって、衛生概念をもっていて、根気とある程度の経済力を必要とします。実際問題としては、容易なことではないはずです。途中で手を抜くような方では無理でしょう、病気を蔓延させるだけで終わりかねません。この病気は手ごわい病気であるというのが事実なのです。




http://www.vets.ne.jp/info/teiki.html

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