獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200905-51

Re:フィラリア予防薬の投与時期について教えてください
投稿日 2009年5月14日(木)19時17分 投稿者 プロキオン

フィラリアの感染チェックの検査と服用の時期は、直接は関係ありません。

「予防薬」と称していますが、実際は「感染仔虫の駆虫薬」であって、フィラリアの成虫が心臓に到達してミクロフィラリアを産出するようにまで発育してしまうことを「予防」する薬です。
また、服用させても2〜4日くらいで犬の体内で分解されて排泄されてしまいます。1ヶ月継続して犬を守ってくれるという薬ではありません。
つまり、感染仔虫が蚊によって媒介される以前の季節に服用させても まったく意味を成しません。

そこで、蚊が感染仔虫を媒介するのが何時ごろからかという話になりまして、その時期は沖縄であれば2月から、鹿児島と宮崎であれば4月末から、本州の多くが5月中旬から、東北で6月初旬から末頃、北海道で7月からとなります。
で、感染仔虫が犬の体内に侵入して心臓へたどり着くまでに最速で1ヶ月、長いと3ヶ月くらいの期間を必要とします。
先ほど、話しましたように感染仔虫を殺す作用の薬ですので、上記の時期(蚊によって感染仔虫が媒介され始める時期)よりも1ヶ月遅れで服用していくこととなります。東京や大阪・名古屋等であれば、6月の中旬から下旬を目処に服用させればよいということになります。
このような服用のさせ方をする薬ですので、もっとも大切なことは、蚊がいなくなってからでもさらにもう1回服用させなくてはならない点です。
これを怠りますと、冬の間に感染仔虫が心臓に到達してしまい、翌年の春には、心臓内でミクロフィラリアを産出するようになってしまっていて、感染を成立させてしまいます。このような感染が成立してしまった犬にこの「予防薬」を服用させますと、ショック状態に陥ることがありますので、これをあらかじめ防止するために「感染の有無」を服用前の検査として実施するということになります。

したがいまして、検査してから何日以内に服用させなくてはならないということではありません。服用させるべき時期が到来したら、服用させるということであり、その時期というのは、地域差があります。
簡潔に述べますと、1ヶ月作用が続く薬ではないので、ボールがまだ飛んでも来ないうちにバットを振る必要はないということになります。ピッチャーがボールを投げて、バッターボックスに届くころあいを測って服用させるのがよいでしょう。

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