獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-200907-41

Re3:動物園の月の輪熊があぶないんです!
投稿日 2009年7月15日(水)11時27分 投稿者 プロキオン

このお話は、私にはそのままには受け取れません。ツキノワグマが出産するのは、冬眠中のはずです。生まれた子の哺乳をしながら冬眠しつづけているはずです。
ですから、母熊が住宅地に出没して駆除されているとなれば、子熊達もそれなりの大きさになっていないとなりません。また、冬眠中の熊を狩るというのも手法とすればありますが、この「穴熊狩り」ということになると有害鳥獣駆除の対象となるのでしょうか? 投稿者が脚色したというのではないのでしょうが、お話の発信元による脚色があるように感じました。
( この点に矛盾が生じないケースということになると冬眠し損ねた穴持たず熊ということになってしまい、これはもう駆除の対象とせざるを得ないと思われます。 )

いずれにせよ、この子熊達は母熊といっしょに駆除されるべきところを一度助けられて、引き取られて育てられた。そして、もう一度助けられて別の動物園に引き取られたということになると思います。つまり、二度人間に助けられている事になります。
大人になった熊をそのまま2頭いっしょに飼育し続けている方が無理があります。成獣になってしまったのであれば、別々に飼育する方がお互いのためだと考えられます。ツキノワグマですから、狭くても引き取ってくれるところがあっただけ、その熊には運があったように思います。
人付けされてしまった熊ですから、自然の中に放獣するわけにもいきません。動物園の展示動物として「生」をまっとうする機会を与えられたというだけでも幸運です。おそらく、ペアリングというのも「生かす」ための理由からなのではなかったでしょうか? 年齢差がありすぎますので、実態としてはかなりむずかしい話ではないかと思うのです。それでも、あえてそういう理由で機会を与えてくれたのではないかと私には思えるのです。

ですから、動物園関係者を責めるのは、少しばかり違うように思います。できる努力はすでになさってくださっているのではないでしょうか。
九州には廃園となった動物園を市民が支援して復活させ維持している園もあります。到津の森にその動物園はありますが、経営難から廃園がきまったところを祖父や祖母の代から、この森で遊んでそだった多くの世代を超えた市民が力を合わせて支えて市を動かしたのです。廃園間際であった旭川動物園を支えたのは旭川市民でしたし、到津の森動物公園を廃園から救ったのも北九州市民でした。そして、おもしろいことにこの2つの動物園の園長さん達はお知り合い同士でした。
到津の森の園長さんは、「旭川動物園は、今や日本一の動物園になりK(旭川動物園の園長さんのこと)は押しも押されもせぬ大園長になった。自分は、南の方でほそぼそとやっているが、うちが旭川と同じになる必要は無い。同じところを目指さないところに うちの存在価値がある。」という主旨の発言をなさっています。仰せのとおりで、動物と触れ合うということにおいて、旭川動物園とは、まったく異なる手法をとられているようです。私は、その手法もなかなかおもしろいと感じています。

ツキノワグマに話を戻しますが、私は多くの人間の善意に恵まれた熊だと思っていますし、途中の誰かが欠けても、「今」がなかったはずです。つまり、ラッキーベアなんだと思います。
それ以上に幸運を与えてあげたいとお考えであれば、動物園の方を支えてあげれば、1頭の熊だけではなく、より多くの他の動物達の助けにもなるように思いますし、また熊にとっても良いことがあるのではないのでしょうか。

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