獣医師広報板ニュース

意見交換掲示板過去発言No.0000-201011-8

Re3:ウサギの安楽死
投稿日 2010年11月9日(火)10時41分 投稿者 プロキオン

>もしよろしかったら私がいくつか疑問に思うことについてプロキオン様のお考えをお聞きしてもいいでしょうか。

いくつかの疑問というのが、下記のことであれば、私の意見というのは意味をなしません。私のはトニーさんのウサギを診察していませんし、現場に居合わせたわけでもないからです。ですから、答えることができる範囲でのこととなります。

>眠ったようにそのまま逝くとは、ウサギが何の痛みも感じることなく、ましてや恐怖と苦痛以外の何物でもないような鳴き声をあげる事は含まれていないと言う意味であるのか?

まず、そう説明した獣医師がどのような意味でそのような説明したか如何によると思います。本当にそう考えていたのか、安楽死を勧める際の常套句であったのか、そのように説明するように内部規定でもあったのか?

麻酔をかけてから、安楽死が実施されるものとして、成書には手順が記載されていることが多いものですが、これとて、痛みや苦痛が脳に届いていないということではありません。信号そのものは脳に到達していても、それを関知できないのか、表現することができないかという点で明確ではありません。昨今、動物の福祉で術中・術後のペインコントロールが言われるようになっていることも決して無関係とも思えません。
また、麻酔がかかっていても、その深度が充分なものでなければ、暴れたり悲鳴をあげることもありえます。この麻酔深度は偏に施術者次第になります。
実際、10年以上にもなると思いますが、この掲示板でも「安楽死」をさせたものかどうかという相談がありました。結果として、安楽死させたわけなのですが、その後、かなり長文の仔細なメールが送信されてきまして、そこには、「苦しまないと言われたのに、恐怖と苦しみの悲鳴をあげてもがき続けた。話が違っていた。」という主旨の事が記載されていました。私は安楽死に賛成しなかったレスを書いていましたので、なぜ、そのメールが私に送られてきたのかが最初理解できませんでした。よくよく考えてみれば、そのメールは私宛ではなく、安楽死というものはこのようなものだという説明のレスを書かれた先生宛であって、こういうことがあった、こういうメールをその先生に送ったという複写として私に送信されてきたものでした。
おそらく、また自分と同じような相談があったら、この事実をもってレスしてくださいという願いがこめられていたのではないかと解釈しています。この飼い主さんの場合は、犬がもがき苦しみながら死んでいく様を目撃することとなってしまいましたから、犬自身も飼い主さんも、とても不幸な事となってしまいました。この事例も麻酔深度に問題があったということに他なりません。

>”安楽死”が行われる部屋に我々飼い主も居ていいかと言う問いに(「ガスを使うから。。。」という短い説明で)拒絶した獣医(クリニック)の理由は何であったか?

これこそ、何故、ガス麻酔でないとならないのかが理解できません。短時間で麻酔状態に陥らせるには注射麻酔の方が早いと思います。ウサギにできるだけ触れずに警戒されないようにという意図があったとしても、導入箱を使用したとしても、その間の時間でウサギが何も感じない何も考えないということでもないはずです。
飼い主さんが麻酔ガスを吸わないようにというのは、いささかこじつけのように思います。飼い主さんに麻酔がかかってしまう程のガスが漏れていたのなら、最初から話しになりません。

>本当にガスは使われたのか?

それも当事者で無いと分かりません。ガス麻酔は深度調節が容易であるから事故がおきにくいと説明されていると思いますが、それはその分、意識が簡単に復帰できるということでもあります。深い麻酔深度が求められるのであれば、それなりに時間はかかりますし、まだ充分でないときに次の手順に移ってしまえば、予想外のことも起こり得るのではないかと思います。

>そして、最後に、もしプロキオン様ご自身でいらっしゃったならうちのウサギに対して何かの処置をする可能性はゼロでは無かったかもしれないと思われますか?

これは、「もし…ならば、仮に…であったら」の話ですので、事後にあっては意味を成しません。
今後の事としてであれば、まず治療ありきです。水和して保温して、マッサージして、消化管機能促進剤はあれとこれを使ってということですね。それで回復の兆しが見えるか否かでしょう。これは私でなくウサギ本人に尋ねてもらわないとなりません。
消化管が動き始めたようであれば、内科的に治療を継続するか、外科的なアプローチがあるかを考えなくてはなりません。これもウサギと相談です。
消化管の回復がまったく望めないというケースであれば、どの時点で今の治療をうちきるかを飼い主さんと相談することになります。この場合においても、私は安楽死を勧めません。予後不良のケースであっても、残された時間がそうそうあるわけではありません、飼い主さんに名前を呼んで頭を撫ぜてあげてほしいと思っているからです。医療で及ばないこと、飼い主さんでなければならないできない過ごし方をしていただきたいと切に願っているからです。それが、ウサギにとっての幸せではないかと思っているからです。

ただ、このように私が考えて治療にあたっていたとしても、事後ともなれば、治るはずも無いウサギを弄繰り回して悪戯に苦しみを長引かせて、治療費をぼったくった悪徳獣医師という評価を下してくださる方は出てくると思いますよ。それが獣医療を成功報酬としか考えていない見方なのですから。すべての動物を助ける事が可能であれば、それでも良いかもしれませんが、命あるものは必ず一度は死ななくてはならないのが現実です。獣医師はやったことに対して治療費を請求しますが、成功報酬という考え方があるかぎり、日本でも訴訟は増えていくのではないかと思います。

>どんなに悔いても嘆いても、私とウサギにとっては後の祭りですが、「毛球症」そして「安楽死」等の検索語でここにたどり着くかわいそうなウサギと気の毒なその飼い主の方たちの為に、もしお答え頂けたら幸いでございます。

「毛球症」については、昨日申しましたように決して珍しい疾病ではありません。獣医師広報板では、動物フォーラムの方にウサギBBSがございまして、そこでは常日頃から話題となっている問題です。
私の他にレスをつけてくださっているチーママさんは、そちらの掲示板のお世話係りさんであって、毛球症については、すでに相当の大家です。チーママさんご自身は、最初はウサ飼い初心者さんでしたが、今ではオーソリティーです。つまり、それだけ、この問題がウサギには常について回るということに他なりません。ウサギの飼育者は、この疾患のことを学ばなくてはならないと思います。

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