獣医師広報板ニュース

ペットロス(メモリアル ルーム)掲示板過去発言No.0100-201212-97

私信
投稿日 2012年5月12日(土)22時10分 投稿者 恭介



とら、きみと出会ったとき、ぼくはまだ小さな子供だった。
白いユニフォームを着て、手にはグローブを持っていたろう?
学校の物置に捨てられていたきみたちが、あんまり可哀想で、
とても可愛くて、ぼくは誰の許しももらわないままに、きみた
ちをうちに連れて帰っちゃった。

とら、きみときみのきょうだいは、小さなダンボール箱の中の、
柔らかいタオルの上で、なんだか分からない顔をしながら、
か細い声でみゃあみゃあと、懸命に鳴いていたね。
生き物を飼ったこともなかったぼくは、どうすればいいのか、
何を食べてくれるのかもよくわからずに、おろおろときみたち
を覗きこんでるばかりだった。
ポケットの中に入るぐらいに小さかったきみたちは、自分の力
で排泄することも出来ないくらいに弱弱しかったんだ。それが、
スポイトからミルクを飲んでくれた。小さなおなかを何度も
さすって、ようやくちょびっとのおしっこを出してくれた。
あのとき、僕たち家族は、本当にうれしかったんだよ。


とら、きみは小さな頃から、とても優しかったね。
とら、きみは小さな頃、鏡から反射した光を追いかけて
遊ぶのがとても好きだったね。
とら、きみは小さな頃から、やっぱり掃除機が苦手だったね。

なんせ子供だったから、ときには酷い扱いをしてしまった
こともあったのに、
とら、きみはそんなぼくを、とても好きになってくれたよね。

寒い冬は、ぼくの腕枕の中で丸くなって、暑い夏も、
ぼくの顔のそばで体を伸ばして、ぼくがトイレに立てば、
半分ねむりながらついてくる、ぼくがうちを出たとたん、
玄関のそばでにゃあにゃあ騒ぐ。
本を読んでいるときも、勉強をしてるときも、いつだって
ぼくのあぐらの上はきみの指定席で、ぼくはしびれを我慢
するのによく苦労させられたんだよ。

あれは十代のいつだったか、ぼくが情けなくも男泣きに泣いて
しまっていたあるとき、
とら、きみは何かを察してくれたのかな。
そのつんつんしたひげをぼくの膝頭に押し付けて、
そのまんまるな黒い瞳で黙ってぼくの顔を見上げて、
そのままずっとそばにいてくれたんだ。
ぼくの涙は、おかげでなおさら止まらなかったけれど、
鳴き笑いしながらそのときぼくは、本当にきみと通じ合って
いるんだということが実感できて、すごくうれしかったんだ。


とら、きみは知っていてくれたのかなぁ。
ぼくもきみが大好きだったということを。
とら、きみはわかっていてくれたのかな。
ぼくがいま、とてもとても淋しいんだということを。
とら、きみは、しあわせでいてくれたのかなぁ。


きみの優しいところが好きだったんだ。
きみの柔らかいおなかを撫でるのが好きだった。
きみの瞳が好きだった。きみのひげをぴくぴく引っ張るのが好きだった。
きみにキスするのが好きだった。きみの肉球でぷにぷに遊ぶのが好きだった。
叱られたときにしゅんと伏せるその耳が好きだった。
せまいおでこをぽんぽん叩くのが好きだった。
簡単に喉をゴロゴロ鳴らすところが好きだった。
間の抜けたあくび、ぴんとしたしっぽ、オスとは思えないような可愛らしい声、
振り向いたときの表情、気持ち良さそうに寝ているその背中、
すぐにごはんを取られる気の弱さ、甘えん坊なくせにわがままなところ、
ぜんぶ、ぜんぶ、大好きだったんだ。



きみがいない、とは、どうしても思えそうにないよ。
二十年も一緒にいたんだもんね。
まるで親子のように、兄弟のように、ひょっとすると、恋人のように。
きっとこれから、ふとした瞬間に、きみのことを想うことが
あるんだろうと思う。
当たり前に聞こえた声がもうないってことを。
手を伸ばせば触れられたぬくもりが、もうそこにないってことを。
とら、きみとの思い出にあふれたこの世界のどこかで、ふとした瞬間に。
でも、聞こえなくても、触れられなくても、ひとつ、約束をするよ。
ひとつ、約束できるよ。
これからもずっと、一緒にいようね。
ずっと、そばにいるよ。
とら、きみがずっと、一緒にいてくれたから。
ずっとそばに、いてくれたから。



最期の最期に、ひとりきりにさせてしまって、本当にごめんね。

とら、きみに出会えて、本当に良かった。
ぼくはしあわせだったよ。

いままでありがとね。おつかれさま。
それじゃあ、また。


                   恭介より

                   とら へ

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