獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-199905-80

犬のワクチンについて
投稿日 1999年5月22日(土)22時39分 播谷久美子

こんにちは、獣医の播谷です。ここはちょっと通りすがったのですが、ワクチンについて若干の
の訂正があります。私は昭和59年当時、現在おそらく、国内シェア1番の犬の7種混合ワクチン
の開発チームにいたものです。
 妊娠犬にワクチンをうつことが妥当か否か、という点ですが、とうじ、ワクチンの申請
でおこなった安全試験と、臨床試験で、妊娠犬の頭数が少なかったので、試験
に使った犬に副作用はでなかったのですが、妊娠犬にたいする安全性は確立されない
ということになったのでした。動物のワクチンは、動物用生物学的製剤として、
農林省に安全性、有効性、そのたもろもろ、膨大な資料、実験結果を提出し
さらに、中央薬事審議会をとおって、はじめて製造、販売が許可されます。このとき、
妊娠犬の安全性は、完全には証明されませんでした。(はっきりした副作用もありませんでしたが、)
 そこで、使用上の注意に、妊娠犬には注射しないことが明記されているのです。
ただし、獣医師が、接種することの有効性が、まんがいちおこるかもしれない
副作用の危険より、うわまわると判断した場合、たとえば、その地域で、ワクチン
で、ふせげる病気が蔓延してるような場合は、飼い主に確認したうえで、接種できると思います。
 これにたいして、フィラリアの薬は一般薬ですが、妊娠犬にたいする安全試験をきちんとやって
薬事審議会を通っていると思われます。したがって、使用上の注意に記載されてないのでしょう。
予防薬のなかには、繁殖犬にたいする安全性をわざわざうたっているものもあります。
 なお、7種混合ワクチンといっても、じっさいは、6種類混合されたものです。
ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬パラインフルエンザ感染症、犬アデノウイルス
2型感染症(これらはウイルスです。)にレプトスピラの2つの血清型を混合
したものです。犬アデノウイルス2型感染症のウイルスは、犬伝染性肝炎のウイルスと
非常に近縁であるため、イヌアデノウイルス2型感染症のワクチンで、同時にイヌ伝染
肝炎も予防できることから、7種といわれています。
 また、現在、認可されている8種というのは、上記のものに、さらにべつのレプトスピラ
の血清型(レプトスピラは非常に血清型がおおく、つまり種類がおおいのです。)
をくわえたワクチンで、けっして狂犬病のワクチンを加えたものではありません。
アメリカでは、狂犬病と、他のワクチンを混合したものがうられています。
 レプトスピラは、近年増加傾向にあるかどうかはわかりませんが、(信頼できる
はっきりとしたデーターはでてない)新しい法律で、届け出伝染病に指定されました。
これから、はっきりとしたデーターがでてくるかもしれません。
 ワクチンを注射する際は、獣医師によく説明をもとめ、注射したワクチンの
パンフレットをもらってこられたらよいかと思います。ちなみに、わたしの病院では
かならず接種証明書とともに、パンフレットをおわたししています。

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