獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200006-42

子犬のその後
投稿日 2000年6月22日(木)00時42分 きたむらひろこ

ごめんなさい。長文です。
3週間ほど前に、子犬の事で「意見交換」に投稿させて頂いた者です。ナディア様、Suzuka様、その節はありがとうございました。心臓に雑音があるということで、カラードップラーで調べてもらいました。診断は「肺動脈弁狭窄症」でした。ブリーダーさんに返すためにショップに戻しました。
ショップのオーナーとブリーダーさんが、なかなか会えなくて、3度目の火曜日に返されました。ところが、子犬は犬舎には戻してもらえず、ブリーダーさんと一緒にいた知らないおじさんが、貰っていったというのです。心臓の障害の事も承知で…。自分の店で売ると言っていた、と言うのです。
そんな犬を本当に買ってくれる人があるとは思えません。私の頭の中には「動物実験」の事がよぎりました。だって千頭に1頭の奇形ですもの。オーナーが「一般家庭」に売られるんだと何度も強調して言われるので、なおさら、その逆で、酷い事になっているように思われて。
「報道で言われるほど、この業界、悪くないです」とは言っておられましたが…。
オーナー自身が、3頭の老犬の飼い主です。その3頭のうち、まん中の子がこの前の年末に死にかけたそうです。正月前は、トリマーさんは、ものすごく忙しい時期ですし、店の女の子たちにとても迷惑をかけた、とおっしゃってました。あれ以来、獣医さんから、カンフルと注射器を渡されているそうです。初めての時は、1本を打つのに1時間ほどかかったそうです。
そういうことも踏まえて、病気の子を看るのは本当に大変だから、今、放すのが一番とおっしゃってました。本当に辛いんだと。
新しい子犬を飼って、一日も早く忘れてしまうのが一番とすすめられていたのです。私もそれがいいのかなあ、とも思っていました。それが普通の方法だろうと。
でも、ブリーダーさんが、右から左へ転がしてしまったのでは、あの子は短い寿命すらまっとうできないかも知れない…。
「子犬を探してください」とお願いしました。見つかりました。私も昔行ったことのる不衛生な廉売店にいました。土曜日で、犬の美容室はひっくりかえる様な忙しさなのに、オーナーは出向いてくださいました。おじさんは「もう、うちの商品なんだからタダでは渡せない」と言ったそうです。「預かり料1万円」を払って返してもらいました。かぜもひいていました。
オーナーは「よかったのか、悪かったのか。本当にこれから大変ですよ」と複雑な心情の様でした。

最初に心音の雑音の話を聞いた時から、手放せない事は感じていたのかも知れません。
何かを試されているような、挑戦状をつきつけられたような(おおげさかナ)感じでした。
でも、この問題を私だけが背負うのが嫌だった。他の当事者にも一緒に苦しんで欲しかったのだと思います。作ろうとして、作った障害ではないけれど、もしもそういう子が生まれた時には、ブリーダーさんなら生涯みてやろう、という気持ちでいて欲しかったです。

最初に障害がわかったのが5月25日、我が家に戻って来たのが6月17日。3週間と2日ののち、我が家の犬として落ち着きました。
「見放した」という後悔、罪悪感からは開放されました。
でも、これから何が起こるのだろうと思うと怖いです。
結局自分には重すぎる荷物だったと、後で投げ出すわけには、もういきません。
いつか泣き言を言うかもしれません。
こちらで無遠慮に悩み相談なんか要求するかもしれません。
その時は、どうぞ、病気と闘う犬のために、力を貸してください。
長々と書いてしまってすみませんでした。


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