獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200108-58

re成犬の多頭飼い
投稿日 2001年8月27日(月)23時40分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

同居がうまくいくかどうかは、やはり完全には「読めない」ものだと思います。当初はよくても後に関係悪化もあり、その逆もあり、飼い主の介入が奏効する場合もしない場合もあり・・・。

が、基本的には、なんとかなるものです。しかも攻撃性の低いプードルで(去勢ズミとはいえ)雌雄であれば。拙宅は拾ったり貰ったりしたイヌがゴチャゴチャいまして、スケジュール調整できない導入もありましたが、なんとかなっています。

>お見合いしてみて相性を見てから決める
のは悪いとは思いませんが、覚悟が甘くりかねません。基本的にはお見合いするなら引き取る、相性が最悪な場合のみキャンセル、ぐらいのご決意がるほうがよいように思います。ま、顔を見れば返したくなくなるものですが。

引取り手順の私見。
先住雌も新入り雄もなじみのないところを設定します。念の為、帰路には隔離できる用意を(車内自由、運転手のみ、は不可)。
先方の「お別れ」をまず済ませてもらい、以後は、新入り雄が元の飼い主に気付かないように(におい・声・車のエンジン音に注意)。
「お別れ」後、木などに新入り犬を繋いで元飼い主は消えます。イヌが不安になるまで待ってから、新飼い主が先住犬ナシで近づきます。
エサを使ってもいいのでとにかく、全身どこでもなで回せるまでにします。プードルなら他人に触られても平気でしょうけれど。
綱をとき、少し散歩などして、その途中で新飼い主2が連れた先住犬と対面。「お見合い」場面に元飼い主はいないほうがよいのです。
においをかがせます。多少の唸りあいぐらいは無視無視。連れ帰ります。
同時に、新入り用の「聖域」をお住まい内に確保。注意の届きやすい居間の隅など、かつ、先住犬のお気に入りでないあたりに。ケージと使用していたままの(洗濯していない)毛布とか。新飼い主含めて誰もタッチしない聖域とします。
そのセッティング後、イヌ2匹を中へ。順番は気にせず。うまく誤魔化しながら一気に急いで中へ。
新入りを「聖域」へ誘導。出て来て探索しだかるなら自由にさせます。先住犬の多少の攻撃は許容、ただ、「聖域」中への侵入は断固として叱ります。

最初の夜。ご家族の中でイヌから見て一番エライ人は、「聖域」あるいは新入りが選んだ寝場所の近くで(それが床ででも)寝ます。2頭ともケージで寝るなら話は簡単。先住犬がベッドで寝ているなら、先住犬はベッドで、新入りとエライ人はそこから遠い床で、とか。

当面は先住犬をすべてにおいて優遇優先。ただし「聖域」中は逆。
新入りはなじむにつれて「聖域」を使わなくなるでしょうから、落ち着いた時点で撤去。
落ち着いた頃から、順位の確認が生じるでしょう。原則的には先住犬優先、強いほう優先、ですが、この場合、先住犬より新入りが強く、ただし、雄が雌に譲る習性ゆえに先住犬のほうが威張る、ということが予想されます。新入りのプライドを尊重しメンツを守りつつ、先住犬のわがままを聞いてやる、ぐらいの接しかたがよいように思われます。先住犬がオヤツやオモチャを唸ってとろうとする(で、新入りがたぶん譲る)のは笑って見過ごし、が、先住犬が新入りのエサまで取るのはやめさせる、ぐらいの。
もし精神年齢に開きがあったときには、あるいは先住犬が図に乗りすぎたときには、年長の新入りが若い先住犬の無礼を窘めるために軽く噛んだりもするかもしれませんが、その場合には介入しないでいいと思われます。

24時間監視はできないので、イヌ同士に任せる部分が多くなるのは仕方ありません。事態がこじれる原因を作らない、事態がこじれそうになったら(縫うような怪我につながるケンカになったら−−一方が悲鳴をあげても攻撃が続くとか)、介入する、ぐらいにゆったり構えておられていいと思います。

念の為、迎えるのは休日前などとし、当日と翌日はできればご在宅で。かかりつけの獣医師の休みでないこちとも確認し、ついでに予定を知らせておきましょう。

イヌは人も好きですが、イヌの家族も好きです。少々の軋轢やケンカなどのストレス以上に楽しいことも増えるので、かわいそうがる必要はないでしょう。

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