獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200110-108

re自信喪失
投稿日 2001年10月28日(日)17時46分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

 大きく、「関係悪化」と「トイレ/サークル」が問題なのですよね。

 もし私でしたら、サークルはとっぱらってしまいます。粗相は、イヌではなく、床を変えることで対応します。カーペットは剥がす、ベッドには青ビニールの工事用シートを敷く、など。イヌはネコではないんで、4ケ月齢でトイレが完全でなくても不思議ではなく、そういうもんだ、と思って受け入れます。粗相は叱らず、だまって片付け。成功時のみ誉める、と。台風や飼い主の病気、外出時などのことを考えると、トイレの習慣が完璧でないほうが助かることもあります。習慣が強固だと、「いつものトイレじゃないとしない」と頑張ったりしますから・・・。
 関係正常化には、まずとにかく抱いて寝ることをお勧めします。イヌのほうが嫌がるのなら、イヌが嫌がらないぎりぎり近くまで人間が近づいて寝ます。ヒトがイヌに合わせてやるわけです。多くのイヌは、仲がよい相手とでもお尻同士をくつつけるぐらてが好きなので、そんなイメージで。
 で、他のひとにはそのイヌを無視してもらうようにします。与えられる愛情の量を減らすことで、愛情をより貴重なものと考えてもらいます。ご実家のイヌがなっこいのは、外飼いで触れ合い・愛情が限定されているからだと解釈できます。室内でもそれに近づけてやるわけです。なでるのも、エサやるのも、さんぽも、すべてこてつさん「だけ」が行うようにするわけです。ご家族にはドアを閉めた寝室で寝てもらい、こてつさんだけはイヌと同じ部屋で寝ます。
 その間、叱るのは、イヌのほうが上位を主張した場合のみにします。ただ、これもなるべく少ないほうがいいので、こてつさんとご愛犬とか権威をかけて争うようになる「状況」がなるべくできないようにします。粗相にイヌでなく床を変えることで対応するのもその一環なわけです。他も、たとえば、食べている途中はイヌを放っておく、などがあります。近づけばうなるかもしれず、うなったら毅然として対処せざるを得ませんが、それは関係修復によくない、となれば、食べているときは放っておく、のが正解。対立が生じっこないわけですから。
 そのうえで、イヌのほうから、いつでも自由にこてつさんに近づけるようにします。近づいて来たら愛想してやります。イヌに選択権があるとイヌが自覚するのが鍵です。だから、サークルからは出したいのです。
 しかし、イヌに、本当に選択権があると、こてつさんを無視して他のかたに接近し、愛情をもらって満足してしまいます。これでは何にもならないので、他のかたにはイヌを無視してもらうわけです。
 それによって、「実際にはヒトが望む選択肢しかイヌにはないのだけれど、イヌにしてみれば自分に選択権があると思える」状況が作れます。と、イヌの主観でし「自発的に」こてつさんに接近します。と、こてつさんがイヌに返す「好きだよ」というシグナルがイヌに拒絶されにくくなるわけです。こてつさんお一人でご愛犬を連れて、イヌが苦手な場所(都市にお住まいなら山の中、地方にお住まいなら繁華街)に出掛けるのも手です。イヌがこてつさんに頼りたくなる状況を作り、イヌがイヌの主観では「自発的に」こてつさんに頼るように仕向け、そうしたらお返ししてやるわけです。

 鍵は、他のかたがご愛犬を無視しつづけられるか、にあります。ここが揺らいではすべて台無しです。よく理解して頂いて、徹底を計ってください。ご愛犬の頑固さもよりますが、そう長いことではありません。まず1ケ月もあれば。

 ご愛犬がこてつさんを信頼するようになったら(たぶん1 2週間で変化が現れます)、他のかたには無視を続けてもらっておいて、こてつさんは「愛情の出し惜しみ」をやめていきます。イヌほうからよってきたときにだけ愛想していたのを、じっとしているイヌのそばを通る時とか、たまたま目があったときなどに、名前を呼んだりにこっと笑い掛けてやったりするように。イヌがうっとうしく感じてはダメなので、少しずつ。
 それをもう2週間ぐらい続けて、より強固な信頼関係が再構築できた段階で、ご家族の無視をやめることにします。
 そうなったら、愛情の出し惜しみはやめてしまいます。
 出し惜しみして価値を吊り上げておけば(外飼うはこれに相当)イヌはなつっこくなりますが、それは状況がそうさせています。必ずしも深い信頼関係がなくても懐くんです。
 室内飼いできるのにそれではもったいない、と思います。出し惜しみせず、溺れるほどの愛情を注いだ結果構築される信頼関係はもっと深いものとなります。せっかく室内で飼えるならばこれを味わなないのはもったいありません。そのために、途中で、いわばテコとして、ちょっとだけ愛情の制限をするわけです。
 

 


 
 

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