獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200212-112

reまきさま
投稿日 2002年12月29日(日)01時07分 はたの

獣医師ではありませんがご参考まで。

>一度くわえてしまった物を無理に返させようとすると、
>「ウー」とうなって渡さないのです。

 という場合の

>口をこじ開けて取り上げるという
>荒業

 ですが、おやりになれる自信が持てないのなら止めておくのが無難です。
 こうした直接対決法は、ある意味ではスッキリハッキリしていますし、短時間・一発でOKなのでしんねりむっつり時間を書けてやるより動物への負担が小さいというメリットもあるのですが、他方とにかく「失敗の可能性も大きい」「一度失敗するとこじれる」というリスクもまた、大きいのです。
 イヌの完全に手の内に入っているのでない限り、試すのはリスキーすぎましょう。なお、手の内に入るかどうかは、必ずしも飼いはじめてからの期間によりません。関係性というビミョーなものなので。

 そうなると、どうするかというと。
 一方で「可能な限り物を片付ける」のがひとつ。
 書いておられる通りにそれだけでは十分ではありませんが、何がなんでも取り返さなくてはならない、というせっぱ詰まった状況になる確率を下げるのには意味があります。

 他方、放してもらう訓練をします。
 「ハナセ」より「チョウダイ」がお勧め。イヌは日本語の意味を理解しませんが、ヒトの側の態度は無意識にせよ「チョウダイ」のほうがソフトになりますから。

 そして、ただ放させるのではなく、「もっとほしいもの」と交換、とします。
 取ってこいをさせて、持って来たら、ドライフード一粒などを示して、「チョウダイ」と声をかけます。
 放したらドライフードをやります。この時、持って来たモノには手を出しません。
 フードをぱっと呑みこんだら、おそらく、持って来たモノをもう一度咥えるでしょう。仮に咥えないとしても、人が取り上げようとしたら咥える可能性が高いわけです。それをさせたくはありません。手を咬まれたり、ヒトの側が用意できていない形で直接対決になりがちなので。

 そのモノを咥えたら、再びフード交換で「チョウダイ」。
 この時、ヒトが少しずつ後ずさりしましょう。
 すると、そのモノを放置して付いて来るタイミングが作れます。

 他方、マテ、あるいはオアズケを教えます。
 イヌが咥えてから放させるのでなく、咥える前に制止するコマンドですね。

 マテorオアズケと、チョウダイによってフードと交換にモノを放す、のが別々に出来るようになったら、組み合わせます。
 チョウダイでフードと交換し、マテorオアズケで制止してそのモノを取り上げる、わけです。
 どうしても取り上げたいモノの時は別ですが、訓練として行うのであれば、少なくとも唸らなくなるまでは、マテorオアズケが出来たらその後でフードをやるか、そのモノを返してやる、ことにします。取り上げるのはイヌがそのモノへの執着を失ってからにします。「いつのまにか」関係性が出来るのを狙っているのですから、直接対決になりそうなことは避けるわけです。
 トム・ソーヤーのペンキ塗りのエピソードではありませんけれど、取り上げられると余計に執着したくのが自然ですから。

 これらとは別に、イヌが守るべきモノを近くに持っていない時に、口を開けて口の中を触る練習も。もしも唸るほどにいやがらないなら、ですが。

 「チョウダイ+マテorオアズケ」がうまく進んでから「口を開ける」のと組み合わせれば、咥えているモノを直接取り上げることも出来るようになり、そこに新たな声符を組み合わせれば(この時にはダセ等で)、散歩中に咥えてしまった何かを声だけで吐きだせることが可能になります。

 焦らずにどうぞ。

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