獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200306-115

re:膝蓋骨脱臼
投稿日 2003年6月23日(月)16時25分 プロキオン

>aspipapapaさん

こんにちわ、プロキオンと申します。
お尋ねの膝蓋骨脱臼は、小型犬に比較的多く見られる疾病ですね。通常その程
度をグレード1〜4の段階に分けて評価されます。また、治療内容もそのグレ
ードに応じて検討されます。
書き込み内容を拝見すると、グレード1の評価であると記載されておりますの
で、通常であれば、脱臼の整復と痛み止め、それに激しい運動の抑制、肥満の
防止というのが、選択されることになると予想されます。

これは、手術による侵襲と、日常生活における改善点とを比較して、どちらが
患者本人にとって望ましいかという意味合いがあります。
この手術においても、「滑車溝形成術」と「脛骨粗面体移植」、あるいは両者
の同時適応もあり、それなりの侵襲があるからです。

当然、手術ですから執刀者の技量の問題もあります。しかし、それとは別に、
靱帯が過去に受けた損傷が、リセットされて0に戻るというものでもありませ
ん。
すなわち、手術が成功しても(成功しなくては困るのですが)、患者の膝が新
品の部品と取り替えたわけではないということなのです。日常的な歩行に障害
がでないようにということであって、膝への負担を増やしても良いという免罪
符ではないのです。
パールちゃんがレスでおっしゃられているように 完全に元へ戻ることを保証
しているわけではないのです。

私もaspipapaさんの書き込みをなにげなく読んでいたのですが、本日
気が付くと、りんママさんからもレスが重ねられており、よくよく読み返して
みると、競技継続の意向が読み取れました。
お二人とも犬飼いのベテランさんであり、aspipapaさんのその意向に
かえって悪化させるのではないかと心配をされたのではないでしょうか。

グレード1の膝蓋骨脱臼ということであれば、もし私が主治医であれば、無理
な運動、不自然な運動に対してはドクターストップを勧めると思います。それ
で手術しなくて済むのであれば、その方がよっぽど良いからです。
手術の適応は、不幸にして症状が進行してしまってから検討されれば、良いの
ではないでしょうか。


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