獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200307-32

RE:眼球
投稿日 2003年7月7日(月)15時01分 プロキオン

すでにパールちゃんからレスがついておりますが。

「マキシデックス」デキサメサゾン製剤で、炎症を抑えるために使用していま
す。
「エコリシン」抗生物質です。細菌の感染を抑制するためです。
「ノイチオン」グルタチオン製剤です。おそらく、角膜や結膜等の上皮の再生
を促進させるための使用でしょう。

ですが、通常考えるに眼球が眼窩から飛び出してしまった時点で、視神経が牽
引を受けており、このときの神経の損傷から視力が失われるケースが多いよう
に思います。
同時に動脈も損傷を受けていますので、眼球全体への血液供給量も充分に確保
されていることも考えにくいように想像します。治癒がはかばかしくないのは
そういう原因もあるのかもしれません。

眼房水の減少は、前部ブドウ膜への血液供給が少ないためと思われ、このため
に「眼球労」と呼ばれる状態が生じているのかもしれません。
また、角膜の浮腫は通常、前部ブドウ膜に炎症があって、眼房水の排出不全が
あると浮腫が生じてきます。前言と矛盾する内容となってしまいますが、矛盾
しないですむ現象ということになると、角膜の傷があってその部位が白濁して
浮腫状に見えるということかもしれません。
場合によっては房水を作る機能も衰えているが、これを排泄する機能にも問題
が生じているという二重の事態なのかもしれません。

副作用については、デキサメサゾンが中止されていれば、あとの2つについて
はほとんど心配されなくてよいでしょう。
デキサメサゾンの場合は炎症の抑制がありますので、長期の使用は治癒が遅れ
る傾向がでてきます。
虹彩もそれだけ広範囲であれば、むしろメスを入れるべきでないと私も思いま
すね。現時点では、眼球への感染抑止が主体であってよいように私は考えます
。そちらがコントロールできれば、日常生活では支障は生じないでしょう。

外観上の美感のことなると、シリコンボールや義眼がありますが、まだ考えな
くてもよいでしょう。
感染の抑制がきちんといけば、こももさんのお望みのように自分の目でいける
でしょう。私のところにも喧嘩で虹彩を切られて、瞳が歪んでしまった猫がや
ってきます。この猫はとくに目の治療を受けたわけではないのですが、なんと
か自力で角膜の透明性をとりもどせたということのようですよ。

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