獣医師広報板ニュース

イヌ掲示板過去発言No.1100-200407-55

チョッパーさん
投稿日 2004年7月23日(金)22時03分 投稿者 はたの


 トイレは設置しておくべきです。成功したらほめましょう。ただし、大げさにならない程度に。一言、「よしよし」といってにっこり笑うぐらいでいいかと。あるつながりができるまでは、大げさな誉めには弊害もありますから。
 トイレはいずれ覚えますからあまりご心配なさらずに。
 成功率極小を5割6割にもっていくためには、早くから誉めるのは有効です。しかし、だからといって、誉めてりゃとっとと9割9割5分となるか、というと必ずしもそうではありません。催してから排泄するまでに考える時間が「常に」できてこないといけませんが、これは訓練期間とか訓練の良し悪しでなく絶対年齢に依存します。早期訓練すれば考えるゆとりが合った場合の成功率は上がりますが、考えるヒマがない時にはやはり失敗します。そういう意味では、早く始めても遅くはじめても、成功率9割〜10割になる時期はあまり変わらないものです。極端な言い方をすれば、焦ってはじめてこじらせるより、本犬がどこか好みの場所・パターンを発見してそこでたいていやるようになってから、ヒトが望む場所に移してもらうほうが、トレーニングとしては合理的です。問題はそれまでにヒトが音を上げるというだけで。

 本来なら7ケ月というと、そろそろ我慢がきく年です。が、安心できる環境にないと、排泄を急ぎますからどうにもなりません。昔の軍人の心得に早メシ早グソ芸のうち、というものがありますが、「いつ敵が襲ってくるかもしれない」状況下ではそれが正解ですから。
 なのでまずは安心させてやってください。ゆとりが出てから教えれば、劇的に覚えるはずです。

 経験できなかったこと。
 そのイヌについては状況によりますが。
 M.Foxの著書に、実験的に、水平の線が存在しない(床と壁、壁と天井の隅を丸くしてある)、あるいは垂直の線が存在しない部屋で育てられたイヌの例があります。大きくなってから外に連れ出していくら見せても世界に順応できなかった由。
 これは極端な例ですが、類似の、もう少し細かいことは起こりえます。拾ったイヌなので詳細は不明ですが、拙宅にも、おそらくは1歳ぐらいまでほとんど外に連れ出してもらえなかったのではないかと思われるイヌがいます。7歳になっても外では異常に興奮します。多少改善はしていますが、普通のイヌなみになる前に寿命がくるペースです。
 チョッパーさんのイヌが何をいつ体験できたによりますが、なんやかや出てくることは覚悟されるとよいかと。

 だからといって急いであれもこれも体験させなくっちゃ、は逆効果です。だいたい4ケ月齢ぐらいまでが「窓」が開いている期間ですから、いま焦っても弊害が大きいでしょう。信頼関係優先で、てってー的に甘やかしましょう。散歩に行って怖がったら、それがどんなに無意味な怖がりかたでも抱いて帰ってくるぐらいで。
 ここにいていいんだ、ワタシはここで生きていていいんだ、という、無条件の安心が生じれば、生じてはじめて、港から冒険に出ていこうという気になるわけです。そうなってから体験のチャンスを。
 1日ですむこともあれば、数週間以上かかることもあります。本当に悲惨な来歴だと何年もかかることもあるでしょう。
 イヌの準備が整うまで待ってあげましょう。

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